著者
西城戸 誠
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.70-86, 1998

本稿では,戦後日本における環境問題とそれに対応する環境運動を,運動目標と組織構造,運動戦略を中心に整理しながら,政策提言型環境運動の特質を考察した。産業公害や大規模開発に伴う環境問題に対しては,制度的変革志向的な運動目標を掲げる政治志向型環境運動が対応し,その組織形態にはフォーマル性が認められた。生活公害のような環境問題に対しては,自己変革的な運動目標を掲げる共助志向型環境運動が対応し,基本的にその組織形態はインフォーマルな運動組織であった。そして地球環境問題に関しては,この問題の特質が生活公害の延長上にありながらもその構造の重層性のため,フォーマルな運動組織を持つ政策提言型環境運動が対応していることを示した。また環境運動が持つ政策提言性の質の程度が組織構造や運動戦略にも影響を及ぼしていることも示した。<BR>以上のように,環境問題の類型ごとの運動展開と運動の持つ政策提言性の質の変化に注目することによって,1990年代の日本の環境運動において,運動組織のフォーマル性をめざし,高度な専門性を所持した上で行政などに対案提示を行うような志向性が認められる。最後に,政策提言性の高さと動員戦略とのジレンマという政策提言型環境運動が抱えている諸問題を提示した。

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[paper] タイトルどおり, 運動目標や組織構造を軸に整理しながら環境運動を分析. / 西城戸誠(1998)「日本における環境運動の組織構造と運動戦略 : 1960年-1990年代の環境運動を事例として」 http://t.co/c5VE80kq

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