著者
西城戸 誠
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.81-98, 2000-07

社会運動の組織的基盤などの動員構造に関する従来の研究は,既存の組織やネットワークの有無やその形態の議論に留まっているように思われる。そもそも運動に参加した諸集団のネットワークといった動員構造がどのように形成され,維持し変容していったのかという分析は萌芽的段階である。その問題点として,分析視角が単一の動員過程を想定し,運動と運動の問の中断状況や,先行運動による後続運動への「溢れ出し効果」を考慮に入れていないためであると考える。本稿の目的は,北海道札幌市における都市近郊の自然環境・住環境をめぐる4つのイッシューの運動を事例として,運動組織などの集団間ネットワークの形成・維持・変容を記述し,先行運動が後続運動への動員,ネットワークにどのような影響を与えてきたのかという点を分析する。また,運動間ネットワークの様相と動員過程の関係を仮説的に提示することを試みた。知見として,第一に運動の中断中に組織間ネットワークが形成されたこと,第二に先行運動が後続運動に戦略や動員のための運動ネットワークが供給されることが確認され,本稿の分析視角が有用であることが示唆された。また運動間ネットワークの様相と動員過程の関係についての仮説的な見解として,運動間ネットワークは動員に寄与するが,そのネットワークは日常的に機能しているものと運動が生起した時だけに機能するものがあることを指摘した。

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[paper] 札幌市におけるボ ー ト場建設反対運動, バイパス建設反対運動などの環境運動の担い手のネットワーク分析. / 西城戸誠(2000)「環境運動の興隆と沈静」 http://t.co/PQ5vr6rF

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