- 著者
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西城戸 誠
- 出版者
- 北海道社会学会
- 雑誌
- 現代社会学研究 (ISSN:09151214)
- 巻号頁・発行日
- vol.16, pp.119-136, 2003-06-20
最近の社会運動研究において,人々の不満などの運動にかかわる認知的な側面の議論には,「文化的フレーミング」という概念が広く使われている。運動がどのようにすれば拡大するのかという実践的な関心を伴い,運動体とその指導者側が提示する「フレーム」の戦略的優位性についての議論が多くなされてきた。しかしながらこれらの議論は,フレームの受け手側の分析を欠いた議論であり,結果として動員された事象を対象とし,運動体とその指導者側の「効果的なフレーミング」の結果,支持者の動員が可能になったという説明をしている。<BR>本稿では,このようなトートロジカルな議論を回避するために,運動体側から投企されるフレームと,そのフレームの受け手の「文化的基盤」との「提携」という図式を用いる。北海道札幌市・江別市における都市近郊の環境運動を事例にして,投企されたフレームと,受け手の集合的記憶,組織文化,集合的アイデンティティといった運動の「文化的基盤」との関係を実証的に検証することによって,なぜ複数の人々が抗議活動に参加したのかという問いに対して文化的な説明を試みる。