著者
中里 理子
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.818-805, 2000-03

『浮雲』を中心に明治前期の作品を対象として、和語系・漢語系オノマトペの使用状況を概観し、両者の関係を考えた。調査の結果から、和語系オノマトペで表現し得ない部分(その多くは心情表現に結びつく語)を、漢語系オノマトペで補ったこと、漢語系オノマトペの中でも既に広く用いられているものを中心に、言文一致文に取り入れようとしたのではないかということがうかがわれた。前者に関しては、和語系オノマトペにおいて、細かい意味を使い分ける働きをする型が未発達であること、オノマトぺの種類自体がまだ少ないことが、その遠因となっており、和語系オノマトペが発達するまでの間、漢語系のものが使われたであろうことが考えられる。

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