著者
岩田 憲治
出版者
摂南大学
雑誌
経営情報研究 : 摂南大学経営情報学部論集 (ISSN:13402617)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.67-84, 2004-07

本稿の目的は、消費者運動をめぐる当該労働組合の対応を明らかにし、その論理を検討することである。公害や物価など消費者運動に対して企業内労働組合の対応は多様である。その中で本稿は、当該労働組合が消費者運動と企業との関係をどのように対応して調整の役割を果たしたかを検討することによって、消費者運動に対する企業内組合の論理をさぐる。カラーテレビの価格引下げを求める不買運動に対し、ある電機メーカーの労働組合が消費者団体と接触しその要求を経営側に伝えて、解決策を見出すことに貢献した。また、森永ミルク中毒事件では、被害者団体と不買運動を展開する諸団体に労働組合が働きかけ、経営側には被害者団体の要望を受け入れるよう促した。労働組合が消費者団体等の要求を経営側にうけいれられるよう働きかけるのは、直接的には組合員の雇用の確保と労働条件の維持であるが、経営改善を求める要求でもある。その背景には、長期雇用の保障を中心とする相互信頼的労使関係がある。

言及状況

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@kingbiscuitSIU 消費者運動の代表例、地婦連ほかの「カラーテレビの二重価格問題(1970)」のとき、家電労組は消費者団体寄りだったらしく、 http://t.co/MZx1TcLire 地婦連初代事務長・田中里子の経歴 http://t.co/7JBuGB4hUr

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