- 著者
-
岩田 憲治
- 出版者
- 日本NPO学会
- 雑誌
- ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
- 巻号頁・発行日
- pp.NPR-D-18-00020, (Released:2019-11-07)
- 参考文献数
- 27
活動分野別のNPO研究は,法定の20分野によるのが多い.しかし,活動実態を見るには,活動分野を更に分けるのが有効である.そこで本研究は,NPO法人の活動分野を細分して,収入構造の多様性を明らかにするとともに,小規模NPO法人の活動を概観した.その結果下記の3事象が分かった.なお資料は,東京都をはじめ7都府県の14,336法人の事業報告書等である.第1に,収入源が一般の印象と異なる場合がある.例えば,保健医療福祉分野の主な収入源は,障害者福祉制度の給付金であり,介護保険法の給付金は障害者福祉制度の41.5%に過ぎない.第2に,事業収入がないか,あるとしても少額な小規模法人が多い.しかし,少額な収入であっても,ミッションの実現に向けて活動を続けている.そのため,NPO活動全体の議論には,大規模法人に偏ることなく,小規模NPO法人を含めるのが妥当である.第3に,事業収入比率の多寡により全法人を区分すると,高率(80%以上)法人と低率(10%未満)法人の2極に分かれる.