- 著者
-
荻野 千鶴子
岩城 久美子
- 出版者
- 名古屋女子大学
- 雑誌
- 名古屋女子大学紀要 (ISSN:02867397)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, pp.109-114, 1976-03-15
以上をまとめると,中学3年女生徒は1.教科としての技術・家庭科の「好き」「嫌い」については,顕著な地域差はなく,「好き」なものは32.4%,9教科の丁度中央に位し,「嫌い」なものは11.0%で,音楽とならんで最低である.2.中学校技術・家庭科(女子向き)の内容中,「不必要」を訴えるものの最高は木材加工,最低は調理実習,ついで被服製作で,その必要度は,調査人数中,生徒は約6%,父母は,約8%である.3.被服製作のうち,学習してよかった教材としては,ワンピースドレスが最も多く全体の約半数を占め,ついでパジャマであり,スカートは,僅か5%程度である.4.被服製作については半数以上のものが「好き」であるが,「嫌い」な理由としては,「説明聞いてもわからない」「着れないから」というのが僅かながらある.つぎに父母の意見としては1. 家庭科の学校教育としての必要性を全体の93.2%のものが認めており,「不必要」と答えたものは僅か2.7%足らずである.2.必要性を認めた理由は,「将来の生活のため」「人間性育成」などがあげられている.3.現在の被服製作の程度は,「現状のままでよい」というのが72.4%以上あるが,「程度を上げてほしい」というよりむしろ「下げてほしい」との意見の方が多い.また作業方法も,生徒の能力の個人差を充分認め,家庭作業は「やむを得ない」とするもの約30%であるが,半数の人は「学校のみの作業」を望み,遅れたものへは,「先生の手伝い」も希望している.現在次期学習指導要領の改訂準備の時期でもあり,社会の世論も大切であるが,実際にこれを学ぶ生徒の意識と合わせて父母の考えも知り,現代社会における義務教育の最終段階の家庭科教育のあり方について研究し,大学教師も,中学校の実態を充分把握した上で教育実習の事前指導を行ない実習の効果をあげたいと考える.終わりに,本調査に御協力くださった東海3県下の中学校3年女生徒および,その父母ならびに家庭科の先生方に厚く感謝します.