著者
章 開訓 大野 勝利 葛野 浩
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.163-173, 1987-01-10

本研究は30頭の健康な警察犬の心電図について記録測定し,それに基いて分析を試み以下の心電図波形ならびに数値を確定した。これらの数値はシェパード犬の心電図検査の参考指標となり得る。1)心調律:すべて洞性調律であった。2)心拍数:心拍数は60〜147回/分で平均値は106±4回/分であった。3)平均電気軸:平均電気軸はQRS波で測定した72.3±7.1°であった。4)P波:P波の形態は肢誘導とA-B誘導のIおよびIIは陽性,aVRでは陰性,aVFは陽性を主とし,IIIおよびavLは陽性,陰性および二相性を呈した。P波の振幅はA-B誘導より肢誘導が大きい。P波の持続時間は0.03〜0.50秒であった。5) P-R間隔:P-R間隔は0.10〜0.14秒であった。6) QRS波群:QRS波形はA-B誘導と肢誘導I,IIおよびavFではR波が主波となり陽性であり,avRはQ波を主波とし陰性であった。 A-B誘導I,肢誘導II,aVFはqRSでA-B誘導IIおよびavFはRS,aVRはQrとなる。肢誘導ではavRはrSr型が主で,その他の誘導では変位が多く各種の波形が認められる。またQRS波の持続時間は0.03〜0.08秒であった。7) S-T変位:S-T変位のなかでS-T上昇はA-B誘導I,IIおよびavLで常にみられ,S-T下降はA-B誘導のIIIおよびavRに常にみられた。8)T波の形態:T波の形態はA-B誘導I,IIおよびavLでは陽性が多く,IIIおよびavRでは陰性になることが多い。avFは陽性のことが多く陰性の場合は二相性となる。肢誘導ではI,II,III,aVLおよびavFは陽性にも陰性にもなり得るが陽性の出現率が高い。avRは陰性となることが多い。9)Q-T間隔:Q-T間隔は0.16〜0.24秒であった。

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こんな論文どうですか? 犬の心電図に関する研究 : 警察犬の心電図の標準値についての検討(章 開訓ほか),1987 https://t.co/XX6S4PtZVu
こんな論文どうですか? 犬の心電図に関する研究 : 警察犬の心電図の標準値についての検討(章 開訓ほか),1987 http://id.CiNii.jp/EGCXL

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