- 著者
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松井 鋳一郎
- 出版者
- 岐阜大学
- 雑誌
- 岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, pp.393-402, 1988-12-25
Cattleyaおよび近縁属の交配種約210について原種と同様に花色素の花被内分布,花披色および表皮細胞の形状について調査し,原種との相関について検討した。1 花被内のカロチノイドとアントシアニンの分布様式は原種より多く,12のパターンに分類した。ラベンダー系のCattleya, Brassocattleya, BrassolaeliocattleyaやLaeliocattleyaは親と同じ分布様式P_2を示したが,C. intermedia var. aquiniiやC. trianaeとL. pumilaの子孫で表皮にアントシアニンを含む(P3)交配種があった。また,Sophronitisの子孫でもカロチノイドを欠く"ソフロレッド"のものはP3であった。赤色花はカロチノイドとアントシアニンを共に含んでいた。アントシアニン色素を表皮に含むSophronitisの子孫が多かった。しかし,表皮にアントシアニンを含まない赤色のSophronitisの子孫も少数あった。2 Brassavolaの子孫は黄緑,白,ラベンダー色と色度図上原点を通って分布し、赤色の交配種はなかった。色度図上から,ラベンダー系の交配種より,楔花,楔花より"ソフロレッド"の花の方がより赤味が強かった。S. coccineaはLaeliaと交配したとき,その親となる種によって広く分布した。3 交配種の表皮細胞の形や大きさは両親の性質を強く受けた(回帰係数で,形,0.32〜0.56,花弁・高さ,0.40〜0.50,唇弁・高さ,0.37〜49)。また,種や種を構成するグループによって影響の表われ方は異なった。 C. aurantiacaは交配相手の影響が出やすく,C. labiataグループはグループの形質の影響が強く出た。