- 著者
-
渡邉 直樹
- 出版者
- 宇都宮大学
- 雑誌
- 宇都宮大学国際学部研究論集 (ISSN:13420364)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.17-26, 1998-06-30
この論文は、ドイツ啓蒙主義固有の性格について主にフランス啓蒙主義との対比において考察したものである。18世紀の初め、ドイツ啓蒙主義の展開はベルリンにおいて最も進んでいた。この発展に寄与したのが、フリードリヒ二世であり、彼はフランス啓蒙主義者たちをベルリンに招聘することによって、ベルリンをパリ以上の啓蒙主義の中心地たらしめようとした。しかしながら、フランス啓蒙主義が政治的方向においてその実際的思想を発展させたのとは異なり、ドイツ啓蒙主義は神学と宗教・哲学的分野、人間の内面性においてその発展的思想を形成した。本論は、デカルトに始まる近代の合理主義者たちの神学における神と存在論の解釈とドイツの代表的啓蒙主義者レッシングの思想を踏まえつつ、このドイツ啓蒙主義固有の宗教的・神学的性格の基本原理を分析したものである。