著者
稲垣 伸一
出版者
山梨英和大学
雑誌
山梨英和短期大学紀要 (ISSN:02862360)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.140-129, 1998-12-10

ハリニット・ビーチャー・ストウは『妻と私』の中で、女性が家庭で担う役割の重要性を説き、スビリチュアリストでフリーラヴ思想を持っていたヴィクトリア・ウッドハルを嘲笑的に描いた。一方『妻と私』出版の翌年ウッドハルは、ストウの実弟ヘンリー・ウォード・ビーチャーの密通事件を自ら発行する雑誌で暴露し、結婚制度の欺瞞性とフリー・ラヴ思想の正当性を主張した。本稿では、家庭における女性の役割の重要性と結婚制度不要論という表面上対立する主張を、19世紀後半のアメリカにおける女性読者層の増加とそれに伴う出版市場の拡大という現象と、カルヴィニズムに対して不安を抱いた人々の意識という二つの点から検討する。そして二つの主張がいずれもフェミニズム的社会改革を志向しながら、一方は穏健な、他方は急進的思想へ発展していった事情を考察する。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? ハリエット・ビーチャー・ストウとヴィクトリア・ウッドハルの接点 : 出版市場の拡大とカルヴィニズムからの脱却(稲垣 伸一),1998 https://t.co/yE44IZWSO8

収集済み URL リスト