著者
渡邊 智子 土橋 昇 高居 百合子
出版者
千葉県立衛生短期大学
雑誌
千葉県立衛生短期大学紀要 (ISSN:02885034)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.15-21, 1986

花粉は,種子植物(顕花植物)の葯でつくられる粒状の細胞で受精の働きのある雄性配糖体を有し,下等植物の小胞子にあたる。花粉は,移動媒体により風媒花粉,水媒花粉,動物媒花粉に分類され,動物媒花粉は更に虫,鳥,人等に細分される。この中でもミツバチ花粉は,虫媒花粉の代表的なものの1つである。ミツバチは,その蜜嚢に少量の蜜をつめ,花から花へと移動する。その間に持参した蜜で顎と前肢を使い花粉を湿し団子状にした後,巣へ運搬する。この花粉団子がミツバチ花粉であり花粉荷とも呼ばれ,はち蜜と共にミツバチの自活栄養素となる。この点に注目し,古くからヨーロッパでは民間医薬品として珍重されており,日本においても真言宗の「求聞持食」に薬草類30種類の一つとして含まれている。近年では花粉荷は,巣箱の巣門口に花粉荷採取器を取りつけて採取し,食品として用いている。花粉の研究は,主に風媒花粉について花の種類別に,植物学的に行なわれている。ミツバチ花粉は,ミツバチが蜜と花粉を混合したものであり単一花の花粉から形成されていない。そのため,成分分析例も少なく,栄養学的研究報告はさらに見い出すことは難かしい。風媒花粉の成分をみると,花の種類により差がみられるが炭水化物13〜36%,繊維5%,蛋白質6〜29%,脂肪1〜4%であり,ビタミンB群も多く含み必須アミノ酸もすべて含んでいることから,ほとんどすべての栄養成分を豊富に含んでいることがわかる。また,花粉は2層の膜,クチクラ性の花粉外膜とセルロース性の内膜で包まれている。このことから,花粉をヒトが摂取した場合その栄養成分がすべて生体に吸収されるかどうか,その含有する繊維質は生体にどのような影響を与えるのかたいへん興味がもたれた。そこで幼ラットにミツバチ花粉を投与し成長におよぼす影響を検討したので報告する。

言及状況

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こんな論文どうですか? 幼ラットに対するミツバチ花粉投与の影響(自然科学編),1986 http://ci.nii.ac.jp/naid/110001022711

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