著者
山岸 明子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医療短期大学紀要 (ISSN:09156933)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-50, 2000-03-29

本研究の目的は,内的作業モデル尺度の構造を明らかにするために,対人的関係性(親密性,依存性,援助の拒否)や自己への信頼感(無力感,孤独感,適応感)との関係を検討することと,縦断的データによってそれらの変数の変化を検討することである。被験者は95名の看護短大生で,1年時の4月,6月,3年時の4月,9月の4時点で同一の質問紙調査に答えてもらった。主な結果は次の通り。1.因子分析の結果,アンビバレントは対人的不安と一般的な自信のなさの2つに分かれ,回避は自力志向と情緒的関係の回避の2つに分かれた。それぞれの2要因間の相関は弱く,また対人的関係性や自己への信頼感との相関関係も異なる部分が見られた。これらのことはアンビバレントと回避の尺度は1つの要因ではなく,異なった複数の要因から成っていることを示している。2.時期による得点の違いに関しては,対人的不安とIWMの安定性,親密性が有意だった。対人的不安は学年の進行と共に減少する傾向が見られ,安定性は2ケ月半の病院実習の後で増えていた。4時期間の相関は2年半の間隔の場合も含めて比較的高く,これらの変数に関して大きな変動は少ないことが示された。

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