著者
伊達 華子 古賀 望子
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 教育科學 (ISSN:05134668)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.23-33(215-225), 2004-02-16

山形大学教育学部における音楽教育は, 他大学と同じくカリキュラムの上で「ピアノ」と「ソルフェージュ」を別科目として立ててきた。前者は主としてピアノの演奏法を,後者は主として視唱法ないし聴音を扱っているが,両者を有機的に連動させる必要性が指摘されているにもかかわらず, 現在のところ必ずしも成果が上がっているとはいえない。 したがって本論文では, 筆者の教育経験に基づき, 「ピアノ」の教授法に「ソルフェジュ」の要素を取り入れる新たな教授法を具体例とともに提言する。論文の第1部では, これまで行われてきた様々なソルフェージュ教育法を概観しつつ, 各教育法が抱える問題点を指摘し, さらに第2部では, モーツァルト≪ピアノソナタ変ロ長調≫の冒頭楽章第1主題を例として, 単なる演奏技法の習得にとどまらず, トータルに音楽を捉える具体的な教授法の試案を提示する。なお第1部は古賀望子が, 第2部は伊達華子が担当したが, 両者は原稿の段階で論議をつくした。したがって論文の責は等しく両者にある。 Musicians and music educators in Japan share the notion that understanding "solfege" leads to better performance. However, there is no consistency in teaching methodology, with various approaches based on proposals and discussion from educators around the world. In addition, the principles on which methods are based are often misunderstood, resulting in the unreasonable rejection of these methods. In Japan, developing absolute pitch is emphasized over developing relative pitch, while the authors believe they should be given equal value. This paper summarizes and reconsiders the principles of previously proposed methods and will present a teaching method integrating solfege instructions into college level piano instruction.

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