著者
煎本 孝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.125-154, 1988-09-30
被引用文献数
1

アイヌの狩猟の象徴的意味と行動戦略を、文献資料、調査資料に基づき、生態学的および民族生態学的視点から分析した。アイヌの狩猟技術の特徴は、矢毒(トリカブト)、自動装置(仕掛弓)、手持ち弓と狩猟犬の使用である。矢毒と犬は、それぞれトリカブトの神、庭にいる神と考えられており、火の媼神の使者として山の神(熊)を招待する役割を持つ。アイヌ(人間)とカムイ(神、精霊)との間の互酬性は、山の神(熊)の招待と送還という肯定的機序、および、悪い神(悪態;狩猟の不確定性、危険性の象徴)に対する防御、反撃、制裁という否定的機序から成る。熊祭は人間界で飼育された子熊を、特別な使者として熊の先祖のもとに送還することにより、互酬性の反復を意図とする発展した肯定的機序として解釈される。また、占い、夢見は良い狐の頭骨の神、森の樹の女神からの伝言と考えられており、狩猟行動の意志決定における重要な機能をはたす。以上の分析から、狩猟における行動戦略は、人間によって認識された自然と、現実の自然との間の相互作用の動的過程として理解される。

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アイヌの熊狩の論文あるねえ https://t.co/sUqldvVFJL
こんな論文どうですか? アイヌは如何にして熊を狩猟したか : 狩猟の象徴的意味と行動戦略(煎本 孝),1988 http://id.CiNii.jp/EmQWL

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