著者
太田 好信
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族学研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.p383-410, 1993-03
被引用文献数
4

本論は、文化の担い手が自己の文化を操作の対象として客体化し,その客体化のプロセスにより生産された文化をとおして自己のアイデンティティを形成する過程についての分析である。現代社会において,文化やアイデンティティについて語ることは,きわめて政治的にならざるをえない。したがって,この客体化の過程も,その対象や方法,またその権利などをめぐる闘争に満ちている。文化の客体化を促す社会的要因の一つは観光である。観光は「純粋な文化」の形骸化した姿を見せ物にするという批判もあるが,ここでは,観光を担う「ホスト」側の人々が,観光という力関係の編目を利用しながら,自己の文化ならびにアイデンティティを創造していることを確認する。つまり「ホスト」側の主体性に立脚した視点から観光を捉え直す。国内からの三事例を分析し,「真正さ(authenticity)」や「純粋な文化」という諸概念の政治性を再考する。

言及状況

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CiNii 論文 -  文化の客体化--観光をとおした文化とアイデンティティの創造 https://t.co/Zv86H46uKA 「文化の客体化」という概念がアーリの「観光のまなざし」と併置されて論じられていた。覚えておこう。

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