著者
田中 由美 宮田 正和 児玉 直樹 辻 貞俊
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.49-54, 2001-01-01

片側性の眼瞼下垂を主徴とし重症筋無力症が疑われたが転換性障害による偽性眼瞼下垂と診断された患者を2例経験したので報告する.1例目は23歳女性, 四肢脱力と左眼瞼下垂の主訴で受診.2例目は33歳女性, 右眼瞼下垂と右半身感覚低下の主訴で受診した.2例ともエドロフォニウム試験は陰性, 抗アセチルコリン受容体抗体陰性であり, 神経学的にも明らかな異常は眼瞼下垂以外には認められなかった.仕事上のストレスで症状の増悪が認められ, 最終的に転換性障害と診断した.転換性障害の眼症状としては, 複視, 視力低下, 注射麻痺などが知られているが, 偽性眼瞼下垂の報告例は海外で5症例と少ない.転換性障害の発症前や, 症状の増悪時には, 心理的要因が関与していることが多く, 神経学的所見や検査所見に矛盾点がある場合には, 発症前の心理社会的背景を把握するなど心身医学的なアプローチが必要であると考えられた.

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片側性眼瞼下垂を主徴とし重症筋無力症が疑われた転換性障害の2例 http://t.co/mVr3KNLikR  直面化が奏効した心因性対麻痺の1例(突然の両下肢の知覚消失と麻痺が生じ, 多発性硬化症を疑われて神経内科に入院,) http://t.co/Hb21OtTOGl

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