著者
北見 公一 奥瀬 哲
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.541-546, 1999
参考文献数
11

反復する胸背部痛で発症し, 器質的疾患を疑われたパニック障害(PD)の3症例を経験した.<症例1>19男性.過呼吸発作(HV)時必ず胸背部通を訴えるため, 器質的疾患を疑われた.著明な傍背柱筋の緊張と圧痛がみられ, 心理検査では神経症傾向著明.母親との相互依存関係が基礎にあり, 胸背部の筋筋膜通きっかけで発症したPDと考えられた.<症例2>40歳女性.職場を替わり責任が重くなってから胸背部通が出現.助間神経痛の診断で硬膜外ブロックを受けたが効果なし.心理的に防衛が強くアレキシシミあが主体で.胸背部痛は緊張による筋筋膜痛が原因であった.薬剤によりHV発作が誘発されPDと診断.アルプラゾラム他の投薬と筋弛緩法で改善した.<症例3>57歳男性.胸背部痛に対し多数回手術を受けたが効果はなく, 除痛手術目的で当科へ紹介された.雨助間〜背部の絞扼感で, 時折発作的に刺し込みHV様となった.胸背部傍脊柱筋には筋拘縮, 索状硬結, 圧痛がみられた.心理検査では行動化や神軽症傾向が強かった.以上よりもともと筋筋膜痛性の胸背部痛がPDを引き起こし, polysurgery傾肉になったものと考えられた.

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