著者
北見 公一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.31-37, 2020 (Released:2020-01-01)
参考文献数
24

慢性頭痛をストレス関連障害として心身医学的にとらえるための解説を述べた. 慢性頭痛は心身症であり, 性格傾向や痛みの認知機能と深い関連がある. 緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛が慢性化する機序, 特に中心となる睡眠障害と傍脊柱筋筋膜痛およびその背景にあるストレス耐性について解説した. 慢性頭痛をストレス関連障害として診断治療するためには, 診断基準に準拠するのみならず, ナラティブな個人史を重視し, 心身医学的アプローチが必要不可欠であることを述べた.
著者
北見 公一 奥瀬 哲
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.541-546, 1999
参考文献数
11

反復する胸背部痛で発症し, 器質的疾患を疑われたパニック障害(PD)の3症例を経験した.<症例1>19男性.過呼吸発作(HV)時必ず胸背部通を訴えるため, 器質的疾患を疑われた.著明な傍背柱筋の緊張と圧痛がみられ, 心理検査では神経症傾向著明.母親との相互依存関係が基礎にあり, 胸背部の筋筋膜通きっかけで発症したPDと考えられた.<症例2>40歳女性.職場を替わり責任が重くなってから胸背部通が出現.助間神経痛の診断で硬膜外ブロックを受けたが効果なし.心理的に防衛が強くアレキシシミあが主体で.胸背部痛は緊張による筋筋膜痛が原因であった.薬剤によりHV発作が誘発されPDと診断.アルプラゾラム他の投薬と筋弛緩法で改善した.<症例3>57歳男性.胸背部痛に対し多数回手術を受けたが効果はなく, 除痛手術目的で当科へ紹介された.雨助間〜背部の絞扼感で, 時折発作的に刺し込みHV様となった.胸背部傍脊柱筋には筋拘縮, 索状硬結, 圧痛がみられた.心理検査では行動化や神軽症傾向が強かった.以上よりもともと筋筋膜痛性の胸背部痛がPDを引き起こし, polysurgery傾肉になったものと考えられた.