著者
松沢 寛
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.251-256, 1964-09-25
被引用文献数
2

現行流下式塩田の流下盤内に無数の坑道を作って生息するオオツノハネカクシの甚大なる虫害は, 本邦製塩業上大きな問題となっているが, 1963年秋以来1年余りの間, 本種の生態について調査研究を行なった結果, 1年3回(時に一部は4回)の発生をなし, 一部はさなぎ, 大部分は成虫にて越冬することがわかった。産卵期は大まかには, 4月中旬〜5月下旬ないし6月上旬, 6月下旬〜7月中下旬, 8月下旬〜9月下旬の3期で, またその発育所要日数は, 卵14〜20日, 幼虫40〜50日, 前蛹2〜4日, さなぎ6〜8日であった。幼虫は5令の令期をもつようで, 卵から成虫までは, 普通70日内外であった。成虫の生存日数は, 越冬期は2〜4月またはそれ以上にもわたるが, 活動期には概して20〜40日ぐらいであった。また産卵は1粒ずつ坑道の壁の小孔中になされるが, 5〜10卵ずつ2〜3回産卵されるもののごとく思われた。流下盤での生息は, 給水樋に近い, 盤長の大体1/3〜2/3にあたる部分で, 無数に作られた坑道は, 垂直的なものがもっとも多く, 盤底までの貫通率もかなり高かった。成虫の青色螢光灯への飛来は非常に顕著で, この方法は, 本種防除の1策となりうると思われた。本種の分布は, 調査の結果, 愛知県以西の現行流下式塩田に例外なく分布することが明らかとなり, また旧入浜式塩田跡にも, ほとんどすべて生息するようであった。

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塩田の害虫オオツノハネカクシ。塩性土壌で養殖できるかも http://t.co/jpUV05wDmA

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