著者
小川 宣子 久塚 智明 渡邊 乾二
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.148-155, 2002-05-20
被引用文献数
2

卵の鮮度が卵白を加熱した時に及ぼす影響について濃厚卵白及び水様卵白の20℃から85℃の加温過程における動的粘弾性(貯蔵弾性率G',損失弾性率G")と,卵白ゲルのテクスチャー(硬さ,凝集性)から調べた。また,この時の組織構造を走査電子顕微鏡により観察を行ない,卵白ゲルの物性と組織との関係を検討した。試料は産卵4時間以内の卵(新鮮卵)を殻付きのまま25℃で14日間保存を行ない,7日保存(7日保存卵),14日保存(14日保存卵)について調べた。濃厚卵白及び水様卵白いずれの場合も卵の鮮度が悪くなると熱変性温度が高く,加熱卵白ゲルのG'は大きく,硬さは軟らかくなり,熱変性しにくくなることが明らかになった。濃厚卵白と水様卵白では熱変性温度に違いがなかった。濃厚卵白と水様卵白の卵白ゲルの硬さは新鮮卵では違いがなかったが,7日保存卵,14日保存卵の濃厚卵白と水様卵白の卵白ゲルの硬さは水様卵白の方が軟らかった。これは水様卵白ゲルのtanδの方が大きいことより水様卵白ゲルの結合状態が弱いことが原因であると考えられた。軟らかな卵白ゲルの構造は新鮮卵に比べて緻密な構造ではなく,大きな紡錘体が存在した。

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 卵の鮮度が加熱卵白の物性と構造に及ぼす影響(小川 宣子ほか),2002 http://t.co/Gc9toPQL

収集済み URL リスト