著者
森下 敏子 久保 加織
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.347-354, 1997-11-20
被引用文献数
1

震災後約1か月の期間に神戸市東灘区の13か所の避難所を対象に聞き取り調査を行い,支給食および炊き出しなどによる補食の実態について調べた。1.支給食の予算の上昇に伴い,栄養価の増加がみられたが,ビタミンA,ビタミンCや鉄の不足が顕著であり,他の栄養素も100%の充足率を示すものはみられなかった。2.支給食に豚汁,うどん,けんちん汁の補食をプラスした場合,100%の充足率に達したのはタンパク質および豚汁を加えた場合のビタミンB_1のみであった。鉄,およびビタミンB_2はいずれのメニューにおいても補食による効果はわずかにみられたが,メニューによる大きな差は認められなかった。3.鉄,ビタミンA,ビタミンCはいずれの補食をプラスしても80%以上の充足率は得られなかった。4.例示した補食のメニューでは一日のエネルギーの約10%を補う結果となった。5.べースになる支給食の栄養素が十分摂取されていなければ,補食では栄養所要量を充足させることには無理があり,また,栄養摂取のバランスの調整も困難であることが示された。6.避難者の要望としては野菜・魚料理,温かいものを望む声がもっとも多くみられた。

言及状況

Twitter (3 users, 3 posts, 0 favorites)

こんな論文どうですか? 阪神大震災後の避難所における支給食の実態および補食の効果 : 神戸市東灘区の場合(森下 敏子ほか),1997 http://t.co/scvvU4F2

収集済み URL リスト