著者
田中 智子 森下 敏子 茶山 健二
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.342-347, 2007 (Released:2007-05-02)
参考文献数
15

手作り豆腐では, 調製条件によって豆腐中のミネラル含有量が異なるが, 絹ごし豆腐と木綿豆腐を調製し, スーパーマーケットで購入した市販品と比較して次のような結果を得た。  1) 手作りの絹ごし豆腐と木綿豆腐のミネラル含有量を比較するとZn, Fe, Mn, Ca, Mg含有量が木綿のほうが高くなった。  2) 豆腐100g中のミネラル含有量の調製グループによる差は, 市販品と比較して少なかった。しかし, 凝固剤として加えられたミネラルの変動は大きく, これは市販品も同じ傾向を示した。  3) 手作り品と市販品を比較すると,手作りの木綿豆腐のミネラル含有量が高い傾向にあった。  4) Ca/Mg比は五訂食品成分表に比べ, 手作りは高く, 市販品は低かった。また, 市販品でもカルシウム塩を凝固剤として使用している製品のCa/Mg比は高かった。
著者
森下 敏子 久保 加織
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.347-354, 1997-11-20
被引用文献数
1

震災後約1か月の期間に神戸市東灘区の13か所の避難所を対象に聞き取り調査を行い,支給食および炊き出しなどによる補食の実態について調べた。1.支給食の予算の上昇に伴い,栄養価の増加がみられたが,ビタミンA,ビタミンCや鉄の不足が顕著であり,他の栄養素も100%の充足率を示すものはみられなかった。2.支給食に豚汁,うどん,けんちん汁の補食をプラスした場合,100%の充足率に達したのはタンパク質および豚汁を加えた場合のビタミンB_1のみであった。鉄,およびビタミンB_2はいずれのメニューにおいても補食による効果はわずかにみられたが,メニューによる大きな差は認められなかった。3.鉄,ビタミンA,ビタミンCはいずれの補食をプラスしても80%以上の充足率は得られなかった。4.例示した補食のメニューでは一日のエネルギーの約10%を補う結果となった。5.べースになる支給食の栄養素が十分摂取されていなければ,補食では栄養所要量を充足させることには無理があり,また,栄養摂取のバランスの調整も困難であることが示された。6.避難者の要望としては野菜・魚料理,温かいものを望む声がもっとも多くみられた。
著者
森内 安子 田中 智子 逵 牧子 森下 敏子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.154, 2004

<目的>前報では、レモン果汁を魚の酢じめに用いることで、食酢より魚肉の硬さが低下したと報告した。今回はレモン果汁の主成分であるクエン酸と食酢の主成分である酢酸および、それぞれにアスコルビン酸を添加した4種の溶液に魚を浸漬し、魚肉の硬さおよび浸漬液のpH、液量、たんぱく質量を比較検討した。<方法>試料は市販のサバを実験当日に購入して用いた。魚肉は、5%の塩をして冷蔵庫中で20時間放置した後、有機酸(酢酸4%、クエン酸6%)に5時間浸漬し魚肉の硬さを測定した。浸漬液はpH、液量、およびビュウレット法でたんぱく質量を測定した。浸漬液の測定のみ酢酸6%についても行った。また、塩をしない魚を5時間浸漬し、浸漬液中のたんぱく質量の経時変化についても測定した。<結果>有機酸に浸漬した魚肉の破断応力は酢酸4%よりクエン酸6%の方が低下していた。さらに酢酸4%およびクエン酸6%のいずれもアスコルビン酸を添加することで魚肉の軟化が見られた。魚肉の軟化に影響する浸漬液量は酢酸4%よりクエン酸6%の方が減少していることから、保水率に影響することが示唆された。浸漬液中のたんぱく質はレモン果汁、食酢ともに浸漬3時間後から増加した。5時間浸漬では、クエン酸6%より酢酸4%の方がたんぱく質は増加し、酢酸4%浸漬では魚肉の旨みの損失が考えられた。しかし酢酸6%浸漬液ではクエン酸6%との顕著な差はいずれも認められなかった。
著者
大江 隆子 片寄 眞木子 細見 和子 森下 敏子 入江 一恵 大島 英子 川原崎 淑子 小西 春江 長谷川 禎子 樋上 純子 澤田 参子 山本 信子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.25-39, 2001-02-20
被引用文献数
2

Tastes of Japanese dishes are formed from fermented seasonings which each contain a unique flavor. Among such seasonings, mirin and shoyu have been used for Japanese cooking since the Edo period. Mirin, which provided the characteristic flavor of Edo cooking, has become one of the key ingredients in Japanese cuisine. Cooking books and articles published during the Edo period were studied to present this report on use of mirin and its development for Japanese cooking.
著者
森下 敏子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.709-712, 1994-08-15

マーマレードの調製においては加工過程における柑橘類の苦みの増加が問題となる.本研究では数種の柑橘を用いて,マーマレードを作成し,苦みの変化について検討した.マーマレードは2種類の柑橘の皮を1:1の割合で混合して調製した.リモノイドとフラボノイド量はHPLCで測定した.加熱果皮中のフラボノイドはいずれも大幅な減少がみられることから,これらは製品の苦みに関与しないことが示唆された.リモニンは加熱により減少したのに対し,ノミリンは増加し,マーマレードの苦みはノミリンによることが推定された.ナリンギンの多い品種は風味の良さで5%有意差が得られた.リモニンの多い品種は好まれない傾向を示した.2種の柑橘の混合により,風味が向上することを認めた.