著者
小笠原 恵 氏森 英亜
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.45-56, 1990-09-30

本研究では、重度の精神発達遅滞児の要求言語形成のために、機会利用型指導法にマンド・モデル法を付け加えた指導法を導入した。本児のマンド発現を促すために、強い強化機能をもつと推測される遊具を導入し、その効果を検討した。また、指導者からの言語的手掛りや言語モデルを除去していく手続きの検討を加えることを目的とした。そのために本児がベースライン期に最も長い時間遊んでいたことから、強化機能が強いと推測されるブランコを本児が一人では乗ることの出来ない高さまで上げた。そのうえで、本児がブランコに触った時に、指導者は「なーに」という言語的手掛りを与え、反応が無いときには「やって」という言語モデルを示した。介入期1では言語モデルを、介入期2では言語的手掛りを固定遅延呈示し、介入期2で言語モデルを、フォローアップ期で言語的手掛りを除去した。その結果、介入期1では、マンド・モデル法を導入することにより、反応型を形成できた。介入期2では言語的手掛りに反応するという日常場面でよくみられる自然な形での反応へと移行した。さらに、言語的手掛りも除去し、ブランコという物理的刺激および指導者の存在という対人的刺激のみにしたフォローアップ期でも、一定水準の要求語の自発がみられた。

言及状況

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