- 著者
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欅田 尚樹
法村 俊之
土屋 武彦
- 出版者
- 産業医科大学学会
- 雑誌
- 産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.137-145, 1993-06-01
在阪の某製造業従業員を対象に1984年度がら1990年度健康診断時にTHI (Todai Health Index)質問票を用いて喫煙の健康に及ぼす影響を検討した。その結果,1)本事業所の男性従業員全体の平均年齢は37歳であり,喫煙率ば84年度(62.4%)から'89年度(57.2%)までに5%強,減少した。以下の解析は,飲酒の影響を除くために,全く酒を飲まない244名を除いた男性1260名の回答結果について行った。2)THI尺度得点では「呼吸器」,「消化器」,「循環器」,「生活不規則性」,「多愁訴」,「直情径行性」において喫煙により訴えの増加を認めた。3)THIの個々の質問項目としては,咳,痰,のどが痛む・詰った感じ,歯をみがくときの吐き気,食欲不振,胃痛,胸やけ,下痢,歯ぐきの色が悪い,口臭,まぶたが重い,皮膚が痒い,顔色が悪い,息切れ,動悸,体が熱っぽい,背中が痛む,早寝早起きでない,仕事がきつい,横になって休みたい,食事が不規則,イライラするなどの種々の訴えが喫煙により増加傾向を示した。予防医学の立場からもこれら身近な自覚症状に及ぼす喫煙の影響について,健康教育等でアピールしていく必要がある。