- 著者
 
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             新井 利幸
             
             蜂須賀 喜多男
             
             山口 晃弘
             
             磯谷 正敏
             
             堀 明洋
             
             青野 景也
             
             森 直治
             
             前田 敦行
             
             河合 正巳
             
             高野 学
             
             山口 竜三
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人日本消化器外科学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.27, no.9, pp.2135-2140, 1994-09-01 
 
          
          
          
          - 被引用文献数
 
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             21
             
             
             
          
        
 
        
        
        最近10年間に経験した消化器外科手術後に発症した急性肺塞栓症例8例を臨床的に検討した. それらは同期間の手術例の 0.07% に相当し, 平均年齢65.5歳 (55∿75), 1例が男性, 7例が女性, また7例が悪性疾患, 1例が胆石症であった. 術後の安静解除の時期に呼吸困難, 胸痛, 胸部不快感あるいは急性循環不全の症状がみられ, 心エコーで右心の拡張が認められれば急性肺塞栓症が強く疑われる. 肺動脈造影は診断のもっとも確実な方法であり, これを施行した5例全例で塞栓が証明された. 8例中5例は線溶・抗凝固療法で軽快したが, 3例は死亡した. そのうち2例は発症後数時間で失ったが, 1例は補助循環下に線溶・抗凝固療法を行い11日間の生存が得られた. 急性肺塞栓症に対しては, 必要なら補助循環を併施し, 強力な循環管理下に線溶・抗凝固療法をまず行うのがよいと思われる.