- 著者
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伊藤 貴明
新井 利幸
植村 則久
塚原 哲夫
山下 浩正
雨宮 剛
- 出版者
- 日本臨床外科学会
- 雑誌
- 日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.5, pp.931-936, 2022 (Released:2022-11-30)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
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1
免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)はCOVID-19ワクチン接種の稀な合併症として報告されている.症例は50歳,女性.2回のCOVID-19ワクチン接種の2週間後に過多月経で近医を受診し,血小板減少を指摘され当院を紹介.血小板数1,000/μL,網状赤血球数は増加し,赤血球数は減少.骨髄検査では巨核球は軽度増加のみが指摘された.Helicobacter pylori感染を認めなかった.造影CTでは脾腫や側副血行路を認めなかった.ITPと診断しステロイド治療(デキサメサゾン大量療法40mg/dayおよびプレドニゾロン25mg/day)を実施したが,血小板数は2,000/μL,5,000/μLで効果が認められず,脾臓摘出の方針とした.術前にガンマグロブリン(20g/day 5日間)とトロンボポエチンが投与されたが血小板数が23,000/μLであったため,血小板輸血後に腹腔鏡下脾臓摘出術を実施し,術中・術後合併症なく経過した.術後2カ月で血小板数は75,000/μLで安定した.COVID-19ワクチン接種後のITPに対し,脾臓摘出術が有効であった1例を経験したので報告する.