- 著者
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大塚 正彦
加藤 洋
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.25, no.5, pp.1248-1256, 1992-05-01
- 被引用文献数
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61
1946〜1988年の43年間に癌研病院で手術された大腸癌2,656例のうち,低分化腺癌あるいは未分化癌と診断されたのは64例であり,全切除大腸癌の2.4%である.平均年齢および男女比は通常の大腸癌と大差なかったが,発生部位別頻度は右側結腸29例,直腸24例,左側結腸10例,肛門管1例であり,通常の大腸癌に比べ右側結腸の頻度が高かった.この64例を癌間質が少ない順にmedullary(med),intermediate(int),scirrhous(sci)に分類すると,med群に比べて後2者でリンパ管侵襲,リンパ節転移,腹膜播種が多く,予後は有意に不良であった.int群とsci群の間に有意差は認めなかった.また,Grimelius反応,NSE染色さらに電顕により64例中6例(9.4%)に内分泌細胞癌が認められ,非常に予後不良であった.大腸の低・未分化癌は,(1)内分泌細胞癌(予後不良),(2)内分泌細胞癌以外のmed群(予後良好),(3)int群+sci群(予後不良)に分類することが可能で,臨床的に有意義であると思われる.