- 著者
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岡田 裕子
平松 和昭
四ヶ所 四男美
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:03686264)
- 巻号頁・発行日
- vol.58, no.1, pp.55-60, 2003-10
山地流域における洪水流出現象は複雑な要素から成るため、個々の雨水流の持つ平均的法則性を通じて出水現象を把握する方法が有効である。本論文では、個々の雨水流の持つ局所的法則の平均化の手段として流域貯留量に注目し、流域貯留量と流出量の関係から出水形態に関する考察を行った。また、流出解析に必要なパラメータの最適値探索には、現在盛んに応用研究が行われている最適化手法である遺伝的アルゴリズムを用い、その探索能力を検討した。得られた結果を要約すると以下のとおりである。すなわち、1.遺伝的アルゴリズムは、短時間でパラメータの最適値探索を行うことができる。2.流域貯留量と流出量の関係は、ピーク流出量発生時点の付近では直線になり、その傾き(P)は流域貯留量7.6mmを境に変化する。3.この7.6mmは水文活性層の厚さに対応し、流域貯留量が7.6mm以下では中間流が卓越しており、7.6mm以上では表面流が発生し始めていると推察される。以上のように、流域貯留量と流出量の関係から試験流域における出水形態を考察することができた。