著者
中林 敏郎
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.154-158, 1951-11

I have separated the flavonoid pigments systematically by the method of two dimensional paper chromatography ( Table 1) and some results of the detection of these pigments in plants by this method are cited in Table 2.近時発達したペーパークロマトグラフ法は供試試料が少量ですむ事, 操作が簡単である事, 及び分離能が秀れ, 且, 微量物質も槍出し得る事等の利点より生物体申の成分の検索に極めて有効な手段であるが, 先に大島及び私は本法によるフラボン類の系統的分析法を発表し, 其後本法による植物中のフラボン類の槍索及び分離を試みてゐるが, 今回は之迄に得られた結果匠ついて報告する. フラボン類のペーパークロマトグラフ法については他にWenderや刈末, 橋本並びに藤瀬, 立田等の報告があるが, 私共はフラボン類のRf値とその構造との間に或る関係の存在する事を見出した. 即ち展開溶媒どして醋酸エチル-醋酸一水(50:2:50 vol%)の混合溶媒の有機層を用ふるとフラボン類のRf値はそれに結合する糖の種類によつて支配され, 又 n-ブタノールー醋酸一水(4:1:5 vol%)を用ひた場合同一糖を有するフラボン類に於てはそのOH基, OMe基の数によつて支配される. 即ち二次元展開による系統的分析が可能となる. 既知のフラボン類のRf値を示せばTable 1の如くなる. Table 1より推定される様に, 醋酸エチル-醋酸を用ひるとRf値がO.OO~O.20附近のものはdi-又はtri-glycoside, 0.30~0.40ではglucoside, 0.60~O.80 で rhamnoside, 0.90~1.00では遊離のaglyconeである事が判る. 又n-ブタノール-醋酸の場合はOH基の多いものはRf値が小さく, OMe基の存在はRf値を大とする. 以上の結果より本法によつて得られる不明のフラボン類が如何なるものであるかを推定する事が可能となる.

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