著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.142-146, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
5 13 3

焙煎によるコーヒー豆の有機酸とpHの変化を検討した結果。(1) コーヒーの有機酸のブチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析して,ギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レヴリン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸およびクエン酸を同定した。(2) 焙煎により有機酸はそれぞれ変動するが,特にギ酸と酢酸の増減が著しい。(3) 焙煎中,遊離酸量はメディアムで最高となった後減少し,pHもこれに応じて変動するが,総酸量はほとんど最後まで増加を続ける。(4) メディアム以降,かなりの量の有機酸が黒褐色多孔性のコーヒー豆組織に吸着される。
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.9, no.7, pp.284-289, 1962-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6
被引用文献数
1

上述の実験結果から明らかなように,ナリンギナーゼの反応速度を支配するおもな因子であるpHと糖度,および湿度の影響に基いて作製した苦味消失時間を求める計算式は,実際に果汁を用いた試験の結果とほぼ一致する値を与える。したがってこれらの計算式を用いれば,与えられた条件の下で果汁の苦味を何時間で除表できるか,あるいはある一定の時間内で苦味を除去するためのもっとも有効な酵素の使用量は,何単位かなどをあらかじめ知ることが可能となる。そして実際に工場で試験した結果でも,ほぼ予想した時間で苦味の除かれた果汁を得ることができた。しかしこの際反応時間が長すぎた場合には,果汁の変色や香気の悪変およびパルプ質の分離などの現象がみられた。したがってこれらの点を改善するには酵素剤の精製,とくにペクチナーゼ活性の除去を行なうとともに,低温度で長時間反応させるなど,酵素の使用法についてもさらに検討することが必要であろう。なおこの実験で作製した計算式は,ナリンギナーゼANに対しては直ちに適用することができるが,前に報告3)したようにナリンギナーゼには,その種類によって性質に多少の差異があるので,他の酵素剤を使用する場合には,計算式の係数に多少の変更を加える必要があると考えられる。以上の結果を要約すれば,夏ミカン果汁の苦味除去にナリンギナーゼANを用いた場合。(1) pH 2.6~3.4の間では活性はpHの低下に直線的に比例して減少する。(2) 反応温度が50℃までの間では活性は温度の自乗に直線的に比例して増加する。(3) グルコースが4%までのときは,活性はグルコース濃度の平方根に逆比例して直線的に減少する。(4) (1), (2), (3)の結果に基いて,果汁の苦味除去に要する時間を予測する計算式を実験的に作製した。(5) 果汁1tに対し50~100万単位の酵素を作用させた場合は,実測値と計算値とが一致し,このときの酵素量がもっとも有効な添加量となる。
著者
中林 敏郎 鈴木 邦男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.779-782, 1986-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
2
被引用文献数
1

焙煎に伴うコーヒー豆の著しい膨化と脆化の原因を明らかにする為に実験を行ない,次の事実を明らかにした.(1) 焙煎により豆の体積はイタリアンローストで約70%増となり,比重は生豆の1.16がイタリアンローストでは0.49と軽くなった.(2) 豆の圧縮強度は生豆の51.8kgからイタリアンローストでは1.72kgと著しく脆くなった.(3) 走査型電子顕微鏡観察により,焙煎の進行に伴なって表面のき裂は次第に大きく深くなると共に,豆の内部に球状の空胞が発達してスポンジ状となり,さらにイタリアンローストでは空胞壁の破壊もみられた.(4) この豆の内部組織のスポンジ化が豆の膨化と脆化の直接の原因であることを確かめると共に,焙煎時の熱反応の進行について組織学的に若干の考察を行なった.

2 0 0 0 OA 柿澁の化学

著者
中林 敏郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1149-1154, 1968-11-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

今, 酒屋の店頭には皆テリのよい酒が並んでいる。これは商品として至上命令であるからである。そのオリ下げ法には柿渋を中心とした方法と酵素法などがある。私共は経験的に柿渋法のすぐれていることを知っている。しかし, その効果がどうも一定しないとか, その品質がわからないなど問題も多い。柿渋についての知識を正しくかつ豊富にするためにぜひ一読願いたい。
著者
中林 敏郎 政野 光秋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.725-728, 1986-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

先に考案したトリゴネリン(T)とカフェイン(C)の簡易同時定量法を用いて,コーヒー豆焙煎中の両者の含量の変化,および各種の生豆や焙煎豆,ならびにコーヒー製品の両者の含量比(T/C)を検討した.(1) 室温から240℃まで21分間の焙煎中,カフェイン含量は豆の重量減に応じて相対的にわずか増加するが,トリゴネリン含量はメディアムロースト以後急激に分解減少した.(2) コーヒー生豆や焙煎度の異なる豆を分析した結果,そのT/Cの平均値は生豆で0.86,メディアムローストで0.73,フレンチローストで0.55,イタリアンローストで0.15となり,T/C値から豆の焙煎度を推定できることが示唆された.(3) インスタントコーヒーのT/C値にはかなりの幅があるが,それらの平均値は0.43で,原料豆の平均的な焙煎度はフレンチローストよりやや強いと推定さた.(4) 缶詰コーヒー飲料のT/Cの平均値は0.42であるが,個々の値にはかなりの幅がある.しかし大部分のものの原料豆の焙煎度はフレンチロースト付近と推定された.
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.24, no.9, pp.479-483, 1977-09-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
2

コーヒー豆の遊離糖のほとんどを占め,焙煎コーヒーの風味形成に重要な役割を演じている蔗糖の含量について検討を行なった。(1) コーヒーなどポリフェノールを多く含む試料の単糖類と蔗糖の分離定量に有効な方法として,活性炭カラムクロ々トグラフィーを確立した。(2) コーヒーの蔗糖含量の平均値は,生豆で7.02%,メデイアムで0.33%,イタリアンで0.05%,インスタントコーヒーで0.70%であった。(3) 焙煎中,コーヒー豆の蔗糖含量は,クロロゲン酸の減少や褐色度の増加に先だって,速やかに低下して,遂にはほとんど消失する。(4) コーヒーには遊離の単糖類は含まれないが,それより低分子のカルボニル化合物と考えられる単糖類よう物質が,生豆で0.18%,メデイアムで0.28%,イタリアンで0.13%,インスタントコーヒーで1.98%含まれ,焙煎中わずかに増加した後減少する。
著者
中林 敏郎 鵜飼 暢雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.211-216, 1963-06-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6
被引用文献数
6 3

桃の品種によって果肉のかっ変の程度に差のある原因を検討した結果(1) 白桃3種,黄桃5種のかっ変を測定したところ,新白と罐桃C5号のかっ変がとくに著しい。(2) ポリフェノールオキシダーゼの活性はどの品種にも強く認められる。(3) ポリフェノール成分としてクロロゲン酸,L-エピカテキンおよびロイコシアニジンの存在が認められた。(4) ポリフェノールの含量は品種によって異なり,新白とC5号にとくに多い。(5) したがって品種によるかっ変の差はポリフェノールの含量の多少に起因する。(6) 食塩およびアスコルビン酸は強いかっ変防止効果を有している。
著者
中林 敏郎 児島 裕二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.108-111, 1980-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
7
被引用文献数
3

コーヒーの褐色色素の形成機構を解明する一つとして,シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて,コーヒー豆焙煎中のキナ酸含量の変化を検討し,あわせて酒石酸,クロン酸およびリンゴ酸含量の変化も調べた結果,(1) 市販のコーヒー生豆と焙煎豆中の上記4有機酸の含量は表2の通りで,特にキナ酸はフレンチローストで著しく少なかった。(2) 焙煎中,酒石酸,クエン酸,リンゴ酸は豆の重量減に伴い,メディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少した。キナ酸もメディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少を始めるが,フレンチロース以降に再び増加した。(3) 以上の結果から,コーヒー豆焙煎中,フレンチロースト以降の段階の熱反応で,褐色色素よりキナ酸が遊離するものと推定した。
著者
中林 敏郎 真野 三蔵
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, pp.549-553, 1975
被引用文献数
2

焙煎中のクロロゲン酸類の質的および量的変化を明らかにするために,熱分析曲線の変化とクロロゲン酸類の変化との関係を検討した。<BR>(1) コーヒ豆粉砕物の圧縮成形試料を用いることにより,再現性のある熱分析曲線を得ることができた。<BR>(2) コーヒー豆,そのメタノール抽出物,およびクロロゲン酸の熱分析曲線は類似しており,200℃付近に吸熱があり,それ以上で著しい発熱と重量減が起こる。<BR>(3) 200℃付近の吸熱はクロロゲン酸類からの多数の熱変化物の生成反応に基くもので,熱変化物の一部が焙煎コーヒーに含まれることをTLCクロマトグラフィーで明らかにした。<BR>(4) 200℃以上での急激な発熱と重量減は,コーヒー豆成分の酸化や燃焼によるもので,この段階での褐色色素の急増に平行してクロロゲン酸類が急減することをアンモニア発色法を用いて明らかにした。<BR>(5) 以上の結果から,焙煎中クロロゲン酸類は直接,あるいは多数の熱変化物や他の成分との反応で生成する2次生成物を経て褐色色素に変化するものと推定した。<BR>本実験を行なうに当り熱分析の御指導を頂いた本学部の加藤芳朗教授に感謝する。また御援助を頂いたソントン食品工業株式会社および試料を提供して頂いた(株)トミヤコーヒー店(静岡市)に感謝する。
著者
中林 敏郎 真野 三蔵
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.22, no.11, pp.549-553, 1975-11-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

焙煎中のクロロゲン酸類の質的および量的変化を明らかにするために,熱分析曲線の変化とクロロゲン酸類の変化との関係を検討した。(1) コーヒ豆粉砕物の圧縮成形試料を用いることにより,再現性のある熱分析曲線を得ることができた。(2) コーヒー豆,そのメタノール抽出物,およびクロロゲン酸の熱分析曲線は類似しており,200℃付近に吸熱があり,それ以上で著しい発熱と重量減が起こる。(3) 200℃付近の吸熱はクロロゲン酸類からの多数の熱変化物の生成反応に基くもので,熱変化物の一部が焙煎コーヒーに含まれることをTLCクロマトグラフィーで明らかにした。(4) 200℃以上での急激な発熱と重量減は,コーヒー豆成分の酸化や燃焼によるもので,この段階での褐色色素の急増に平行してクロロゲン酸類が急減することをアンモニア発色法を用いて明らかにした。(5) 以上の結果から,焙煎中クロロゲン酸類は直接,あるいは多数の熱変化物や他の成分との反応で生成する2次生成物を経て褐色色素に変化するものと推定した。本実験を行なうに当り熱分析の御指導を頂いた本学部の加藤芳朗教授に感謝する。また御援助を頂いたソントン食品工業株式会社および試料を提供して頂いた(株)トミヤコーヒー店(静岡市)に感謝する。
著者
中林 敏郎 児島 裕二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.108-111, 1980
被引用文献数
3

コーヒーの褐色色素の形成機構を解明する一つとして,シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて,コーヒー豆焙煎中のキナ酸含量の変化を検討し,あわせて酒石酸,クロン酸およびリンゴ酸含量の変化も調べた結果,<BR>(1) 市販のコーヒー生豆と焙煎豆中の上記4有機酸の含量は表2の通りで,特にキナ酸はフレンチローストで著しく少なかった。<BR>(2) 焙煎中,酒石酸,クエン酸,リンゴ酸は豆の重量減に伴い,メディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少した。<BR>キナ酸もメディアムローストまで相対的に増加した後,熱分解により減少を始めるが,フレンチロース以降に再び増加した。<BR>(3) 以上の結果から,コーヒー豆焙煎中,フレンチロースト以降の段階の熱反応で,褐色色素よりキナ酸が遊離するものと推定した。
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.450-453, 1984

コーヒー褐色色素が,焙煎中にクロロゲン酸とショ糖の熱反応で形成されることから,ヒマワリ種子脱脂粕からの分離蛋白の品質向上もかねて,脱脂粕よりクロロゲン酸を抽出,これを利用してコーヒー様褐色色素の製造を試みた。<BR>(1) 6種のヒマワリ種子胚乳部の成分を分析し,脂肪ついで蛋白が多く,クロロゲン酸は平均1.25%含まれることを確かめた。<BR>(2) 脱脂粕の80%メタノール抽出物にショ糖を加えてモデル焙煎した結果,ミディアムローストコーヒーのそれに類似し,実用にたえるコーヒー様褐色色素を製造することができた。<BR>(3) メタノール処理した脱脂粕から得た分離蛋白は殆んど白色で,メタノール処理によるクロロゲン酸の除去が分離蛋白の品質向上に有効であることを確かめた。
著者
中林 敏郎 政野 光秋
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.10, pp.725-728, 1986
被引用文献数
2

先に考案したトリゴネリン(T)とカフェイン(C)の簡易同時定量法を用いて,コーヒー豆焙煎中の両者の含量の変化,および各種の生豆や焙煎豆,ならびにコーヒー製品の両者の含量比(T/C)を検討した.<BR>(1) 室温から240℃まで21分間の焙煎中,カフェイン含量は豆の重量減に応じて相対的にわずか増加するが,トリゴネリン含量はメディアムロースト以後急激に分解減少した.<BR>(2) コーヒー生豆や焙煎度の異なる豆を分析した結果,そのT/Cの平均値は生豆で0.86,メディアムローストで0.73,フレンチローストで0.55,イタリアンローストで0.15となり,T/C値から豆の焙煎度を推定できることが示唆された.<BR>(3) インスタントコーヒーのT/C値にはかなりの幅があるが,それらの平均値は0.43で,原料豆の平均的な焙煎度はフレンチローストよりやや強いと推定さた.<BR>(4) 缶詰コーヒー飲料のT/Cの平均値は0.42であるが,個々の値にはかなりの幅がある.しかし大部分のものの原料豆の焙煎度はフレンチロースト付近と推定された.
著者
伊奈 和夫 池野 直 中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.12, no.7, pp.288-291, 1965
被引用文献数
1

生カキおよびオイスターソースの呈味成分について検討を行なった結果,<BR>(1) 生カキとオイスターソースの呈味成分は,コハク酸とグルタミン酸が主体でこれにグリシンと推定される物質ならびに微量の5'-リボタイドが補助的に影響している。<BR>(2) 生カキでは美味といわれる冬期にこれらの呈味成分が多い。<BR>(3) これらの呈味成分はソース製造中にほとんどそこなわれない。<BR>(4) 生カキをpH 3で自己消化させると呈味成分がもっとも増加し,酵素消化との併用はソースの製造に有効な手段と思われる。
著者
中林 敏郎
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.813-818, 1953
被引用文献数
1 1

By the method of two-dimensional paper chromatography of the polyphenolic substances in apple fruit, three spots were detected, i.e., L-epi-catechin which was epimerized to L-cate-chin by heating, D-catechin which gave a small spot and was epimerized to D-epi-catechin, and chlorogenic acid which was hydrolized to caffeic acid (Fig. 1).<br> In these, L-epi-catechin and chlorogenic acid were isolated in crystalline form from fresh apple fruit (Kokko). These were expectedly oxidized by polyphenol oxidase of apple fruit (Fig. 2).<br> Catechins were estimated by nephelometry (Fig. 4), and chlorogenic acid was estimated by cdlorimetry (Fig. 4), and the relation was studied between the contents of these polyphenols and the quality of apple fruit, but no evidence was obtained (Table 2).
著者
中林 敏郎
出版者
九州大学
雑誌
九州大學農學部學藝雜誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.154-158, 1951-11

I have separated the flavonoid pigments systematically by the method of two dimensional paper chromatography ( Table 1) and some results of the detection of these pigments in plants by this method are cited in Table 2.近時発達したペーパークロマトグラフ法は供試試料が少量ですむ事, 操作が簡単である事, 及び分離能が秀れ, 且, 微量物質も槍出し得る事等の利点より生物体申の成分の検索に極めて有効な手段であるが, 先に大島及び私は本法によるフラボン類の系統的分析法を発表し, 其後本法による植物中のフラボン類の槍索及び分離を試みてゐるが, 今回は之迄に得られた結果匠ついて報告する. フラボン類のペーパークロマトグラフ法については他にWenderや刈末, 橋本並びに藤瀬, 立田等の報告があるが, 私共はフラボン類のRf値とその構造との間に或る関係の存在する事を見出した. 即ち展開溶媒どして醋酸エチル-醋酸一水(50:2:50 vol%)の混合溶媒の有機層を用ふるとフラボン類のRf値はそれに結合する糖の種類によつて支配され, 又 n-ブタノールー醋酸一水(4:1:5 vol%)を用ひた場合同一糖を有するフラボン類に於てはそのOH基, OMe基の数によつて支配される. 即ち二次元展開による系統的分析が可能となる. 既知のフラボン類のRf値を示せばTable 1の如くなる. Table 1より推定される様に, 醋酸エチル-醋酸を用ひるとRf値がO.OO~O.20附近のものはdi-又はtri-glycoside, 0.30~0.40ではglucoside, 0.60~O.80 で rhamnoside, 0.90~1.00では遊離のaglyconeである事が判る. 又n-ブタノール-醋酸の場合はOH基の多いものはRf値が小さく, OMe基の存在はRf値を大とする. 以上の結果より本法によつて得られる不明のフラボン類が如何なるものであるかを推定する事が可能となる.