著者
槙 究 増田 倫子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.232-243, 2000-12-01
参考文献数
8
被引用文献数
4

実物の色と記憶色では色が異なるとの研究報告がある。本研究では、その違いが記憶保持期間における色の変容によるものかどうかを明らかにするために、物体の色を記憶後、3回に渡って再生させる実験を行った。その結果、以下のようなことがわかった。(1)物体の色の記憶は、ある程度の正確さを持っている。しかし、色相は記憶色の影響を受けてずれることがあるし、彩度の中彩度側にずれて記憶される傾向がある。(2)低彩度の色は、色相の記憶における個人差が大きい。(3)一旦記憶された色は、一週間後まで、安定して再生される。(4)色記憶時の背景の違いは、記憶される色の違いとなって現れる。記憶保持過程には影響を及ぼさない。(5)実物の色と記憶色が異なるのは、色の記憶が時間と共に変化するためではなく、記憶のプロセスに起因する。

言及状況

Twitter (2 users, 2 posts, 8 favorites)

@shark_ishi 色彩の記憶は1週間で抜けると、この論文にはありますわ。https://t.co/Q65g0XQgSK それと、信濃の艦底色は緑色だったとかいう話も、昔はありましたね。 個人的には船体と間違えたのだろうと思ってますが… 日焼けでペンキの色も変わるという事もあり、色関係は、アバウトにならざるを得ないようです。

収集済み URL リスト