著者
小野 良孝
出版者
日本作物學會
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.p708-714, 1990-12

サトウキビの節間生長経過に見られる特徴と, 主茎に分化した各節の節間長, 節間径の季節変化について解析した。3品種 (F 161, NCo 310, 読谷山) における特定の1節間の伸長, 肥大生長は, 当該節に着生した葉身が完全に展開した日から10日目までの間に急激に行われ, 20日目までにほぼ終了した。しかし, 節間乾物重の増加は, 読谷山では葉身展開後70日目まで, 他の2品種では100日目まで漸増的に推移した。また, 成熟度の指標である節間の含水量の減少, ブリックスの増加は葉身展開後約100日目まで継続的に見られた。約1カ月間隔で周年的に値付けたF 161の主茎の各節における節間長, 節間径には, それらの生長時期に対応した顕著な季節変化が認められた。節間生長における季節変化を明らかにするために, 各植区の主茎基部の第11節位から各10節間を対象に, 節間の生長量と生長期間の気象要素間の関係を解析した。その結果, 節間長と3気象要素との間にいずれの節位においても正の単相関が認められた。しかし, 互いに他の2要素の影響を排除した節間長との偏相関は, 平均日射量と最も高い正の関係を, 次いで降水量と正の関係を示したが, 平均気温とは負の関係であった。節間径と3気象要素との単相関では, 第11〜30節位の節間径と平均気温, 降水量との間には負の有意な相関が, 一方, 第31節位以上の節間径と気象3要素との間には正の相関が見られた。各節位の節間径と気象3要素との偏相関は, 平均気温と負の高い関係を示し, 次いで平均日射量, 降水量と正の関係を示した。

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