- 著者
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江間 章子
貝沼 やす子
- 出版者
- 一般社団法人日本調理科学会
- 雑誌
- 調理科学 (ISSN:09105360)
- 巻号頁・発行日
- vol.24, no.2, pp.89-95, 1991-05-20
- 被引用文献数
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夏みかん果汁を直接炊き込む方法により古米の食味の改善を試みた。また,食酢を用いた炊飯も行い果汁の有効性を検討した。結果を以下に要約する。1)官能検査において,果汁添加飯および食酢添加飯は香り,粘り,かたさの点で古米の改善がみられ,総合的にも白飯に比べ好ましい飯となった。2)飯のテクスチャーは,果汁および食酢の添加により,かたさの低下と付着性の増加が測定され,官能検査と対応した古米の改善がみられた。3)飯のつやは古米の白飯は通常米の白飯に比べかなり低いが,果汁及び食酢の添加により高まり,通常米と同程度となった。4)顕微鏡観察において,果汁飯および酢飯の飯粒周辺部の変化と付着物が観察され,飯のテクスチャーやつやなどとの関係が示唆された。5)官能検査により果汁飯と酢飯の適塩量を検討したところ,果汁飯の方が酢飯より少ない食塩量で食味上好まれる結果となった。6)果汁飯と酢飯では飯粒中の食塩の分布状態が異なり,果汁飯の方が飯粒表層部に分布する食塩量が多いことが示唆された。以上,夏みかん果汁により古米の食味の改善を行うことの有効性が明らかになった。また,食塩の分布状態と味の感じ方の関係は興味深い結果であったので,今後さらに検討を進める予定である。