著者
田中 政信 中島 寿亀 森 欣也
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.162-168, 2003-03-15
被引用文献数
3 6 6

サトイモ葉柄用品種育成のための効率的選抜法を確立するために、シュウ酸カルシウム結晶の形成過程、発生時期および組織内分布について検討した。シュウ酸カルシウム結晶は、極めて若いステージの実生の胚軸や葉柄組織の結晶細胞中に、短い針状結晶や砂粒状結晶として出現した。細胞の分化に伴い、これらの結晶は細胞の中央部で、一方は柱状の束晶へ、他方は金平糖状の集晶へと分化した。束晶細胞はその形態的特長から、大型で不整形の非防御的束晶細胞と細長いキュウリ様で、細胞の一方の先端に乳頭状突起を有する防御的束晶細胞とに区別された。また、防御的束晶はわずかな刺激によって崩壊し、多数の針状結晶を細胞外へ飛散させる特性を有していた。実生の幼苗では、非防御的束晶細胞がまず出現し、その後、やや遅れて防御的束晶細胞が出現した。集晶は植物体の生長が比較的進んだ時期から出現した。播種後約60日目に葉柄中の束晶細胞密度は安定した。サトイモの各器官における束晶細胞の分布は、葉身が最も高密度であり、葉柄、球茎の順に低密度となった。また、外部組織は内部組織に比べ束晶及び集晶細胞の分布密度が高くなった。結晶細胞の密度は各器官の通気組織や表皮の近傍の柔組織、細胞分裂の盛んな組織で高くなった。また、結晶細胞の密度は、若い組織が高く、古い組織が低かった。

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