- 著者
-
田中 政信
中島 寿亀
森 欣也
- 出版者
- THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
- 雑誌
- 園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
- 巻号頁・発行日
- vol.72, no.6, pp.551-556, 2003-11-15 (Released:2008-01-31)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
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日本在来のサトイモ14品種群,37品種を供試して,葉柄内のシュウ酸カルシウム結晶細胞の密度および大きさを調査し,以下の結果を得た.供試したすべての品種の葉柄中には防御的束晶細胞および非防御的束晶細胞の2タイプの束晶細胞が観察された.品種群の間で束晶細胞の密度に差異が認められた.また,いくつかの品種群の間では束晶細胞の密度や形状は類似していた.各品種群内における品種間の束晶細胞密度の差異は,一部の品種群以外は認められなかった.いずれの品種も集晶細胞密度は束晶細胞密度より高く,品種群内におけるそれぞれの細胞密度の差もかなり大きかった.14品種群は葉柄の束晶細胞密度により2グループに分類された.低密度グループには,みがしき群,溝芋群,薑芋群,唐芋群,八ツ頭群,蓮芋群,えぐ芋群および赤芽芋幹の8群が区分され,高密度グループには黒軸群,蓮菊芋群,石川早生群,土垂群,筍芋群および檳榔芯群の6群が区分された.葉柄用および芋・葉柄兼用品種群の葉柄内の束晶細胞密度は,芋用品種群のそれより低かった.また,葉柄用品種群の束晶細胞の大きさは比較的小さかった.以上の結果から,束晶細胞の密度および大きさは,サトイモ葉柄用品種の育種において"えぐ味"が少ない個体を選抜するための指標として利用することが可能と考えられる.