著者
村上 多喜雄 松本 淳
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
気象集誌 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.719-745, 1994-10-25
被引用文献数
17

西部北太平洋における夏のモンスーン(WNPM)は、8月中ごろの最盛期には、東南アジアモンスーン(SEAM)と同程度かそれ以上に活発になる。これら2つの夏のモンスーン地域の境界は、OLRが190Wm^<-2>以下になる両モンスーンの上昇域の間にあって、OLRが230Wm^<-2>以上と比較的高く、相対的な好天域である南シナ海にある。主要な下降域は中部北太平洋にあり、そこでは太平洋高気圧の発散域の上層に、熱帯上部対流圏トラフの収束域が位置している。すなわち、29℃を超える世界でもっとも高い海水温域にあるWNPMの中心地域(北緯10-20度、東経130-150度)では、活発な対流活動が生じ、東経110度付近の南シナ海と、西経140度付近の中部北太平洋との間に、顕著な東西循環が起こっている。この東西循環の鉛直構造は、北緯10-20度付近ではバロクリニックで、東経150度以東では下層が偏東風、上層が偏西風となっており、以西ではこの逆となる。WNPMは、北緯10度から20度付近における海水温の東西コントラストと、北緯20-30度付近における、大陸-海洋間の東西の熱的コントラストの複合作用の結果として生じていると考えられる。WNPM域の極側には大きな大陸がないため、南北の熱的コントラストの影響は、二義的なものとなる。一方SEAMは、主に南北の海陸熱的コントラストによって駆動される、南北循環によって生じている。SEAMは10月初め以前に後退するのに対し、WNPMは29℃を超える高海水温が維持されているため、11月初めまで持続する。

言及状況

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こんな論文どうですか? アジア大陸と西部北太平洋における夏のモンスーン(村上多喜雄ほか),1994 http://id.CiNii.jp/HkLGL

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