著者
丹羽 勝 鳥越 則昭 橋本 吉史 古舘 宏
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学雑誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.p343-348, 1975-12

(1)開花期の異なるダイズ品種相互の間で接木を行ない,穂木の開花日を調査した。播種後約1ケ月を経過した植物を台木とし,播種後約1週間の幼植物を割り接ぎした。穂木の葉は子葉以外はすべて取り去った。 (2)十勝長葉,シソメジロ,中鉄砲,ダルママサリ,Jackson,アキセソゴクの6品種相互の間で36組合わせの接木を行ない,自然日長下で育てた。穂木の開花日は台木に用いた品種によって異なり,台木品種の対照植物の開花日との間に高い正の相関が見られた。穂木に用いた品種による開花日の差は有意であったが,台木品種による差にくらべると小さく,対照植物の開花日との間には有意な相関が見られなかった。しかし,もっとも早生の十勝長葉はどの品種に接がれた場合も,他の品種より早く開花Lた。 (3)穂木の開花日についての分散分析によれば,穂木品種と台木品種の効果の間には交交作用がなく,これら2つの要因が相加的に穂木の開花日に影響を与えていることが示唆された。 (4) 十勝長葉,シソメジロ,白大豆,アキセソゴクの4品種を台木とし,シンメジロ,アキセソゴクの2品種を穂木とした8組合わせの接木を行ない,植物を12時間,14時間,16時間の日長で15回処理し,穂木の開花日を調べた。一般に,穂木の開花日は台木の対照植物の開花日と並行関係にあった。穂木に用いた品種による開花日の差は有意ではあったが,台木品種,日長による差にくらべると小さかった。分散分析の結果によれば,日長,台木品種,穂木品種の間には有意な交互作用が見られ,自然日長下での花成反応とのちがいが示唆された。 (5)要約すると,本実験に用いたダイズ品種の間の開花日の差は,主として葉における花成刺激形成の差によってもたらされ,花成刺激に対する生長点の反応の品種間差は,開花日の品種間差を決定する程大きくはないことが明らかにされた。

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