- 著者
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丹羽 勝
- 出版者
- 日本育種学会
- 雑誌
- 育種學雜誌 (ISSN:05363683)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.4, pp.421-428, 1985-12-01
- 被引用文献数
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南米低緯度地方に栽培されるダイズ5品種と,日本の2品種を用いて,異なる日長条件下,または異たる播種日で栽培し,開花迄日数と主茎節数の変化を観察し,低緯度地方品種と日本品種の日長反応性を比較した. 第一複葉展開時から植物を12時間,12時間40分,13時間20分,14時間の各日長で処理したところ,開花迄日数および主茎節数は日長時間とともに指数関数的に増加した.日長時間に対する指数回帰から,12時間日長における開花迄日数および主茎節数(N12),開花迄日数および節数の日長による増加率(IR)を推定したところ,品種間に差が見られた. 開花迄日数,主茎節数とも,IRの最も大きい品種は日本のアキセンゴク,最も小さい品種は低緯度地方のIAC-8であったが,IRには低緯度地方品種と日本品種との間には,一定の傾向が見られなかった.一方,N12に関しては,開花迄日数および主茎節数とも,日本の品種は低緯度地方品種にくらべて,小さい値を示した. 供試品種のうち,低緯度地方品種3,日本品種2の合計5品種を用いて,5月21日から8月9日にかけて,20日間隔の異なる播種日で,植物を自然日長下,6時より18時までは30℃,18時より6時までは25℃の温度条件で育てたところ,開花迄日数および主茎節数は播種日が遅くなるにつれて減少した.出芽から開花迄の期間の日長時間を平均したところ,平均日長もまた播種日が遅くなるにつれて減少した. 開花迄日数,主茎節数とも,平均日長に対して指数回帰を行なったところ,よく適合した、各品種について,平均日長が14時間のときの開花迄日数,および主茎節数の値(N14)と,それぞれの形質のIRを推定した.開花迄日数,主茎節数ともIRには日本品種と低緯度地方品種の間には差が見られず,N14は日本品種のほうが小さかった。