著者
阿部 一博 棚瀬 匡彰 茶珍 和雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.123-129, 1998-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
5 15

本研究では, バナナ果実(熟度;グリーンチップ段階)から種々の形状の切片を調製し, 切片の生理・化学的特性を調べた.ポリエチレン包装した切片では, 実験期間(96時間, 20℃)には明らかな糸状菌を伴った腐敗はみられなかったが, 果皮と果肉の切断面の褐変ならびに果肉の軟化がみられた.これらの変化は切断角度が大きくなるに従って顕著であった.果皮と果肉の切断面のハンター測色値(L値)の低下は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従って低下が明らかとなり, 縦切り切片で最も顕著であった.果肉硬度の変化は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従って硬度の低下が明らかとなり, 縦切り切片での軟化が最も顕著であった.C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量は貯蔵に伴って多くなり, 増加は縦切り切片が最も顕著で, 切断角度が小さくなるに従ってC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量も減少した.縦切り切片のCO<SUB>2</SUB>排出量は他の切片より多かったが, 0度, 30度, 60度切片間の差は小さかった.バナナ果実切片の貯蔵性とC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量には関連性がみられた.貯蔵環境中のC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>を除去したり, C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>濃度を高めても(20μl・l<SUP>-1</SUP>), L値ならびに果肉硬度の低下は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従ってこれらの低下が明らかとなり, 縦切り切片での低下が最も顕著であった.

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