著者
ロンポパック テラヌード シリパニ ジンタ 上田 悦範 阿部 一博
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.3-8, 2005-01-31 (Released:2011-05-20)
参考文献数
10

バナナ (Sucrier) における棚持ち期間の延長を目指して, 低酸素処理の方法を検討した。追熟処理の後, 果色が緑色に黄色を帯びた段階 (ステージ3) で低酸素処理を行った。5%酸素の調整ガス下および48時間窒素ガス処理では, 3-4日の棚持ち期間を有する空気下に比べて1-2日その期間が延びたに過ぎなかった。ポリエチレン袋 (厚さ0.03mm) を使い24, 48時間窒素ガス封入したところ5-6日まで棚持ち期間を延長できた。内容成分である糖の増加は外観にかかわりなく, 順調に増加した。24時間ポリエチレン袋に窒素ガス封入の後, さらにポリビニールクロライドフィルムでラップするとさらに棚持ち期間を9-11日まで延ばすことができた。
著者
阿知波 信夫 片寄 政彦 阿部 一博
出版者
Japan Association of Food Preservation Scientists
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.341-346, 2003-12-30 (Released:2011-05-20)
参考文献数
28
被引用文献数
6 9

強酸性電解水を利用したカットキャベツの実用的な殺菌処理方法を確立した。カットキャベツの処理量に対する処理水量の比率および処理時間を, 従来の殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウム水処理と比較して同等の殺菌効果となる条件を明らかにした。続いて強酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム水で処理後のカットキャベツ中のトリハロメタン量を経時的に測定したところ, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では保存72時間後までほぼ一定して0.05mg/kgのクロロホルムが検出し続けたのに対し, 強酸性電解水処理では直後でも不検出であった。官能試験 (パネラー30名) では次亜塩素酸ナトリウム水処理直後臭いや食味に問題ありと判定した人が半数以上いたが, 強酸性電解水処理では直後でも異常ありと判定した人は1名以下であった。また, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では放置60分後には臭いや食味で異常ありと判定した人は2名以下となった。つまり, トリハロメタンは残存していたにもかかわらず, 臭いや食味では異常を感じないということが判明した。強酸性電解水処理ではトリハロメタンの生成もなく, 消費者へ提供する直前に食品を処理しても臭いや食味にほとんど異常を与えない点からも, 有効な処理方法であるといえる。
著者
阿部 一博
出版者
日経BP社
雑誌
日経automotive
巻号頁・発行日
no.91, pp.61-63, 2018-10

最後の最後にならないと、クルマの本当の出来映えは分からないですよ。途中段階の試作車でこんなにいい性能になるでしょ、すごいでしょとエンジニアは目を輝かせて言うわけです。でも信じられないんです。そうじゃないかもしれない。
著者
阿部 一博 緒方 邦安
出版者
japan association of food preservation scientists
雑誌
コールドチェーン研究 (ISSN:02851377)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.104-108, 1976-10-10 (Released:2011-05-20)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

この研究は,ナス果実の低温障害に関する研究の一環として,低温障害の発生におよぼす温度ならびに湿度の影響について調べたものである。1) ナス果実を1℃,6℃,10℃,20℃の各温度下に有孔ポリエチレン袋詰めとし貯蔵すると,商品性の保存期間はそれぞれ,9,11,21,23日であった.商品性を低下させる主な原因は,1℃,6℃貯蔵では,ピッティングで,10℃,20℃貯蔵では,がく部から始まる腐敗であった。2) ピッティングの発生は,1℃,6℃貯蔵のみでみられ,その発生は適熟果(開花14日)で多く,未熟果(開花5-7日),過熟果(開花24-27日)で少なかった。両貯蔵温度区において冷涼期に収穫された果実では発生は減少し,また一時10℃で貯蔵することによってその後の低温貯蔵中の発生を減少させることができた。3) 1℃の温度下で,乾燥状態の貯蔵区では黒色の陥没が多く発生し,湿潤状態の貯蔵区ではピッティングが多く発生した。光学顕微鏡での観察により,黒色の陥没は表皮細胞の崩壊,ピッティングは柔組織の細胞の崩壊により始まることがわかった。4) ナス果実の貯蔵条件としては,10℃-20℃の温度域で,やや過湿状態がよいと思われる。
著者
阿知波 信夫 片寄 政彦 阿部 一博
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.341-346, 2003-12-30
参考文献数
28
被引用文献数
13 9

強酸性電解水を利用したカットキャベツの実用的な殺菌処理方法を確立した。カットキャベツの処理量に対する処理水量の比率および処理時間を, 従来の殺菌剤である次亜塩素酸ナトリウム水処理と比較して同等の殺菌効果となる条件を明らかにした。続いて強酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウム水で処理後のカットキャベツ中のトリハロメタン量を経時的に測定したところ, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では保存72時間後までほぼ一定して0.05mg/kgのクロロホルムが検出し続けたのに対し, 強酸性電解水処理では直後でも不検出であった。官能試験 (パネラー30名) では次亜塩素酸ナトリウム水処理直後臭いや食味に問題ありと判定した人が半数以上いたが, 強酸性電解水処理では直後でも異常ありと判定した人は1名以下であった。また, 次亜塩素酸ナトリウム水処理では放置60分後には臭いや食味で異常ありと判定した人は2名以下となった。つまり, トリハロメタンは残存していたにもかかわらず, 臭いや食味では異常を感じないということが判明した。強酸性電解水処理ではトリハロメタンの生成もなく, 消費者へ提供する直前に食品を処理しても臭いや食味にほとんど異常を与えない点からも, 有効な処理方法であるといえる。
著者
阿部 一博 棚瀬 匡彰 茶珍 和雄
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.123-129, 1998-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
5 15

本研究では, バナナ果実(熟度;グリーンチップ段階)から種々の形状の切片を調製し, 切片の生理・化学的特性を調べた.ポリエチレン包装した切片では, 実験期間(96時間, 20℃)には明らかな糸状菌を伴った腐敗はみられなかったが, 果皮と果肉の切断面の褐変ならびに果肉の軟化がみられた.これらの変化は切断角度が大きくなるに従って顕著であった.果皮と果肉の切断面のハンター測色値(L値)の低下は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従って低下が明らかとなり, 縦切り切片で最も顕著であった.果肉硬度の変化は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従って硬度の低下が明らかとなり, 縦切り切片での軟化が最も顕著であった.C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量は貯蔵に伴って多くなり, 増加は縦切り切片が最も顕著で, 切断角度が小さくなるに従ってC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量も減少した.縦切り切片のCO<SUB>2</SUB>排出量は他の切片より多かったが, 0度, 30度, 60度切片間の差は小さかった.バナナ果実切片の貯蔵性とC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>生成量には関連性がみられた.貯蔵環境中のC<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>を除去したり, C<SUB>2</SUB>H<SUB>4</SUB>濃度を高めても(20μl・l<SUP>-1</SUP>), L値ならびに果肉硬度の低下は0度切片で最も少なく, 切断角度が大きくなるに従ってこれらの低下が明らかとなり, 縦切り切片での低下が最も顕著であった.
著者
和田 光生 池田 英男 松下 健司 神原 晃 平井 宏昭 阿部 一博
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.51-58, 2006 (Released:2006-02-21)
参考文献数
32
被引用文献数
7 22

トマトを 2 月から 8 月まで毎月10日に播種し,NFT ベッドで一段栽培した.一番花開花10日後より遮光率 0%(対照区),30%(弱遮光),55%(中遮光)および83%(強遮光)の寒冷紗で被覆することによって遮光処理を開始し,果実の収量と品質を調査した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した.7 月から 9 月までは給液する培養液を25℃に冷却した. 遮光率が増加するにつれて,1 果重が減少して全果実収量は低下した.全果実収量は播種月ごとに果実発達期の平均日積算日射量によって直線で回帰された.回帰分析の結果から,果実発達期の平均気温が19℃から27℃に高まった場合,平均日積算日射量 1 MJ・m−2 の減少に伴う収量低下量は,84から100 g/株に増加することが示された.対照区の可販果収量は 2 月播種で最も高く,4 月から 7 月播種では裂果の発生によって有意に低下した.裂果の発生は遮光によって有意に抑制された.平均気温が25℃を超えた場合には,日平均積算日射量を 5~6 MJ・m−2 程度まで低下させる遮光によって,可販果収量は増加する効果が認められた.夏季高温時に収穫される果実は滴定酸含量が高かった.遮光によって,果実の糖度は低下し,滴定酸含量は増加する傾向が認められた.
著者
阿部 一博
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.283-290, 2006-11-30
被引用文献数
3 5

近年の社会情勢や食環境の変化とともに食習慣や食素材の形態も移り変わり、特に簡便性を有するカット青果物の流通・消費量が急激に増加し、日本では最近10年程の間に2,000億円を超える市場規模となっている。カット青果物の先進国であるアメリカ合衆国では、2005年のフレッシュカット青果物の売上総額は前年比10%増の60億ドル(6,900億円/1ドル=115円換算)に達し、全国青果物小売総売上額の16%を占めることが、国際フレッシュカット青果物協会の市場調査で明らかになっており、日本におけるカット青果物の消費量のさらなる増加が予想される。一方、栄養士志望の若い女性を対象として、2005年に筆者が実施したアンケート調査においても、カット青果物の利用頻度が今後も高まることが明らかになっている。筆者は、1987年ごろから十数年間にわたってさまざまなカット青果物を研究の対象としており、また、基礎的な研究から応用研究まで幅広い分野の研究結果を報告しているので、それらを11項目に分けて記載する。