著者
近泉 惣次郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.149-155, 2000-03-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 8

'アンコール'果の果面に発現するコハン症の発現機構を明らかにした.1. コハン症の発現は果皮組織のエージングと密接な関係を有しており, 果径が4cm以上になる9月から10月の2ヶ月間に発現するが, その場合4月開花の果実に発現し, 7月開花の果実には発現しなかった.この症状は果実の陽光面に発現するが, 日陰面では発現が見られなかった.この陽光面の果面温度は38℃以上の高温となっており, この温度が4∿5時間続くとコハン症が発現した.そこでハウスのアーチ部を遮熱資材で被覆し, 果面温度を30℃以下に保ったところコハン症の発現はかなり軽減された.2. コハン症発現部をみると, 油胞組織の果皮表面部に小さな亀裂が生じており, この部分から精油成分の漏出が認められた.この漏出精油成分は果皮の柔細胞を破壊し緑色の斑点症状を誘起した.その後この緑色斑点は時間の経過につれ黄色ないしは褐色に変色しコルク化した.'アンコール'果実から抽出した1油胞相当量の精油成分を人為的に果皮に注入したところ, 自然に発現するコハン症と同様の斑点症状の発現が認められた.

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