著者
松本 和夫 近泉 惣次郎 許 仁玉 渡部 潤一郎
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.171-178, 1972
被引用文献数
6

温州ミカンの可溶性固形物と遊離酸含量に影響する樹令および立地要因の寄与度を, 現象数量化の手法を用いて推定した。果汁の糖度計示度と滴定酸度のいずれに対しても, 地域を表わす要因の寄与度が最大であつた。また, 糖度については, 傾斜方位の寄与度が2位, 樹令の寄与度が3位であつた。一般に, 樹令が増すほど少しずつではあるが着実に糖度が高まつている。標高と海岸からの距離が糖度に及ぼす影響は, 他の要因に比べてかなり低かつた。<br>いつぱう, 果汁の滴定酸度のほうは, 海岸からの距離が遠くなるにつれてかなり増加した。標高と酸度の関係は, 海抜200m以上のところで酸度の増加が著しく, それ以下のところでは標高差の影響をほとんど受けていない。傾斜方位の影響については, 糖度, 酸度のいずれに対しても, 部分的に常識と一致しない傾向が認められた。
著者
近泉 惣次郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.149-155, 2000-03-15
参考文献数
9
被引用文献数
1 8

'アンコール'果の果面に発現するコハン症の発現機構を明らかにした.1. コハン症の発現は果皮組織のエージングと密接な関係を有しており, 果径が4cm以上になる9月から10月の2ヶ月間に発現するが, その場合4月開花の果実に発現し, 7月開花の果実には発現しなかった.この症状は果実の陽光面に発現するが, 日陰面では発現が見られなかった.この陽光面の果面温度は38℃以上の高温となっており, この温度が4&acd;5時間続くとコハン症が発現した.そこでハウスのアーチ部を遮熱資材で被覆し, 果面温度を30℃以下に保ったところコハン症の発現はかなり軽減された.2. コハン症発現部をみると, 油胞組織の果皮表面部に小さな亀裂が生じており, この部分から精油成分の漏出が認められた.この漏出精油成分は果皮の柔細胞を破壊し緑色の斑点症状を誘起した.その後この緑色斑点は時間の経過につれ黄色ないしは褐色に変色しコルク化した.'アンコール'果実から抽出した1油胞相当量の精油成分を人為的に果皮に注入したところ, 自然に発現するコハン症と同様の斑点症状の発現が認められた.
著者
近泉 惣次郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.13-18, 2002-01-15
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

'大谷'イヨの果皮障害の発生原因を明らかにすると共に, 防止対策についても二三の検討を加えた.'大谷'イヨの果皮障害は主に貯蔵中に発生するが, 樹上の果実にも認められた.'大谷'イヨの果皮障害には3種類あることが明らかになった.一つは, 果実が受ける高温並びに日射が主因となった障害である.この障害は樹上の果実に発生する.そこで, この障害に対して"日焼け症"と呼称した.二つめは収穫時には肉眼的には健全な果実でも, 貯蔵中に果実が樹上で受けた果面の陽光部に多数の小さな斑点が発生するものである.この障害に対しては"コハン症"と呼称した.他の一つは貯蔵中に発生するが, この原因は貯蔵中の低温が主因であり, -2℃の貯蔵によって発生した.この障害は果面が赤くただれた火膨れ症状を呈するため"ヤケ症"と呼称した."日焼け症"は高温や日射を軽減する袋かけにより防止できた.20℃の予措処理とポリエチレンフィルムによる個包装を組み合わせることにより, 貯蔵中に発生する"コハン症"や"ヤケ症"の発生を抑制することができた.しかし, 個包装を開封することによってこれらの障害が発生した.
著者
近泉 惣次郎
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.306-311, 2003-07-15
被引用文献数
4 3

'清見'果実のこはん症の発生に及ぼす原因を明らかにすると共にその防止対策を確立する目的で本研究を行った.'清見'の貯蔵中の果実に発生するこはん症は,果実が樹上で受けた日射並びに日照が原因の一つであることを初めて明らかにした.すなわち,収穫時には肉眼的にみて健全な果実であるが,果実が樹上で受けた果面の陽光部に,貯蔵中にこはん症が発生し,日射を受けていない日陰の果実ではその発生がほとんど認められなかった.陽光部の果面温度は同じ果実の日陰部のそれより10℃以上高かった.快晴の日における果実からの蒸数量は陽光却で日陰部の3倍,夜間でも25%も高かった.このことから陽光部の蒸散量とこはん症の発生は密接な関係があるものと思われた.果皮の陽光部と日陰部における無機成分含量には有為な差は認められなかったが,デンプン含量と全糖含量はわずかであるが陽光部のブラベドで高かった.果皮のa^*値およびカロチノイド組成については,こはん症の発生した陽光部でわずかながら高かった.観察の結果,陽光部の果皮表面は滑らかであるが日陰部の果面は油脂と油脂の聞か陥没した粗い果面であり,果面の滑らかな部分に主にこはん症が発生し,果面の粗い果実にはその発生が少なかった.