著者
矢羽田 第二郎 野方 仁
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.202-207, 2000-03-15
被引用文献数
2 5

結果節位の異なるイチジク'蓬莱柿'秋果の発育および形質の変動と発育期間中における気温の影響について, 1996年から1998年までの3カ年にわたって検討を行った.1. 第3節, 第8節および第13節の秋果の結果日から収穫日までに要した日数は80∿89日で, 果実の発育期間中の積算温度(基準温度0℃)は年次, 節位にかかわらず, ほぼ2, 100℃前後であった.横径, 縦径および果実重は第3節の果実が顕著に大きく, 節位の上昇とともに果実が小さくなる傾向が認められた.果皮色のE値は, 節位の高い果実ほど低下して着色が優れた.小果の可溶性固形物含量には, 節位間に一定の傾向が認められなかった.2. 結果後の気温は第3節と第13節で対称的な変化を示し, 第3節では結果初期の気温が低く, その後は収穫期まで上昇したのに対して, 第13節では結果初期の気温が高く, その後は収穫期まで低下した.第8節は, 第3節と第13節の中間的な気温変化を示した.果実の発育期間中の気温は各節位ともおおむね最低気温15℃以上の範囲で推移したが, 果実が未成熟であった1996年の第13節では, 結果後76日以降の最低気温が13℃に低下した.3. 果実の横径, 縦径, 果実重は, 結果後30日までの気温との間に有意な負の相関が認められた.また, 横径, 縦径, 果実重は収穫前5∿15日間の平均気温, 最低気温との間に有意な正の相関が認められ, とくに収穫前5日間の最低気温との相関が高かった.果皮色のE値も, 収穫前15日までの平均気温, 最低気温との間に有意な正の相関が認められた.小果の可溶性固形物含量は, 果実発育期間中の各時期とも気温との間に有意な相関が認められなかった.

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