著者
高樹 英明
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.416-423, 2001-07-15
参考文献数
20
被引用文献数
2 8

山菜アマドコロP. odoratum Druce var. pluriflorum Ohwiの種子の発芽様式, 休眠型, 休眠打破に関して検討した.収穫後まもない種子を10月に播種して戸外で育てた場合, 翌夏になって発芽(発根)したが, 芽の地表への出現と展葉が見られたのは翌々春の4月であった.発芽が起こるためには種子が前もって低温湿潤処理される必要があったので, 種子休眠(幼根休眠)の存在が認められたが, その休眠は5℃, 60日間処理でほぼ完全に打破された.また, 種子への5mMエテホン処理は幼根休眠打破の弱い効果を示した.幼根休眠打破後の発芽適温は17∿25℃であった.種子の低温処理を, 種子を取り出す前の果実に対して行うより, 取り出した種子に対して行うほうが, 発芽促進効果が大きかった.果実から取り出した種子を低温湿潤処理前に1週間程度風乾させても発芽に影響はみられなかった.幼根休眠打破処理後, 発芽適温下に置いた種子の発芽とその後の生長活動は90日後には停滞した.これは幼芽が休眠(上胚軸休眠)に入ったためと考えられる.幼芽が生長を再開してシュートが地表に現れ, 緑葉を展開するためには再度低温経過を必要としたので, アマドコロ種子の休眠型はBartonとSchroeder(1942)が報告したdouble dormancyに似ていた.アマドコロの上胚軸休眠打破後の地表へのシュートの抽出適温は17∿29℃であった.シュートの地表への抽出は, 幼根休眠打破後の温暖期間(21℃)と上胚軸休眠打破のための5℃処理期間の長さに大きく影響され, どちらかの期間を120日とし, 他方を90日にした場合に, シュートの地表への抽出が比較的早く, また高い率で起こった.

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上胚軸休眠 次のDIF試験に出ます(笑) http://www.engeinavi.jp/fen/%BE%E5%E6%F5%BC%B4%B5%D9%CC%B2/ 発芽という奇跡 http://www.fukuoka-edu.ac.jp/~fukuhara/keitai/2-1.html アマドコロの上胚軸休眠 http://ci.nii.ac.jp/naid/110001816519

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