著者
早田 保義 坂本 隆行 河塚 寛 坂本 宏司 筬島 豊
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.517-525, 2002-07-15
被引用文献数
2 7

メロンの香気成分分析においてPorapak Qカラム濃縮法(PQM)の有効性を明らかにするため, 従来の抽出方法である直接ヘッドスペースガス採取法(DHSM)および減圧連続蒸留抽出法(SDEM)と成分の回収量や回収率および再現性等について比較・検討した.検出された揮発成分数はPQMが103成分で最も多く, 次いでSDEMが66成分, DHSMが8成分であった.同定された揮発性成分は76成分であり, アルコール類では, 2-Methyl-1-propanol, 2-Methyl butanol, 1-Hexanol, 1-Heptanol, 1-Nonanol, (Z)-3-Nonen-1-ol, (Z)-6-Nnen-1-ol, (Z, Z)-3, 6-Nonadien-1-ol, Benzyl alcoholおよび2-Phenethyl alcoholなどがPQMで比較的多量に検出された.アルデヒド類では2-Methyl butanal, 3-Methyl butanal, Nonanal, (E, Z)-2, 6-NonadienalおよびDodecanalが, PQMで多く回収された.エステル類では両抽出法でPropyl acetate, 2-Methylpropyl acetate, Butyl acetateおよびBenzyl acetateが比較的多量に回収されたが, 回収効率はEthyl propionateおよびMethyl butyrateなど低沸点成分の多くがほぼ同程度であり, 中高沸点成分はPQMが良好であった.含硫化合物はEthyl (methylthio) acetateおよび2-(Methylthio) ethyl acetateがPQM, SDEM共に, Ethyl 3-(methylthio) propionate, 3-(Methylthio) propyl acetateがPQMでのみ検出された.成分の抽出変動係数はPQMでは平均11.90%であったが, SDEMでは平均37.13%とPQMの安定的な再現性が得られた.また, PQMで得られた香気濃縮物そのものの香りはメロン特有の自然な香りであったが, SDEでは煮え立ったような重い匂いに変性した.PQMは従来の抽出方法に比べ操作が簡便・迅速に行え, 更に幅広い沸点範囲の香気成分を変性させること無く回収でき, 再現性が高いことからメロンの香気抽出法として優れた方法であると判断された.

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