著者
早田 保義 今泉 由紀子
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.708-710, 2000-11-15
被引用文献数
3 6

わが国の代表的な4品種の観賞用ヒマワリについて, 日長が花芽分化と開花に及ぼす影響を調べた.4品種ともに播種から花芽分化までの日数は8時間日長で短縮された.しかし花芽分化から開花までの日数は, 'ビックスマイル'および'サンリッチオレンジ'では8時間日長と12時間日長で短縮され, 逆に'タイヨウ'では16時間日長で, 'バレンタイン'については16時間日長と12時間日長で短縮された.開花時の花序の直径は, 'サンリッチオレンジ', 'タイヨウ'および'バレンタイン'では処理区間での差がなかったが, 'ビックスマイル'では8時間日長で若干減少した.以上の結果より, 本実験で供試したヒマワリは品種によって花芽分化の最適日長と花芽発達の最適日長が異なることが明らかとなった.このことから, ヒマワリを栽培する場合に栽培期間の短縮を図るための日長処理時期は「播種時∿花芽分化期」と「花芽分化期∿開花時」の二つの時期に分け, それぞれの時期に適した最適日長処理を行うべきと推定された.
著者
小原 香 坂本 由佳里 長谷川 治美 河塚 寛 坂本 宏司 早田 保義
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.267-269, 2006 (Released:2006-05-22)
参考文献数
8
被引用文献数
5 18

香草のコリアンダー (Coriandrum sativum L.) の異なる成長期における器官別香気成分の変動を検討した.コリアンダーの幼苗期の葉部と茎部のにおいは極めて類似しており,高いパターン類似率を示した.しかしながら,幼苗期の葉茎部と成熟期の葉茎部のパターン類似率は低下し,さらに,幼苗期から成熟期へと成長が進むに従い,葉と茎部の香気は異なるようになり,そのパターン類似率も著しく低下した.また,果実と他の器官におけるパターン類似率の低下は顕著であった.茎葉部の主要香気成分は,油っぽい,甘い,草様の香りを有する decanal, (E)-2-decenal, (E)-2-undecenal, 2-dodecenal, (E)-2-tetradecenal の 5 成分であり,種子にはほとんど含まれていなかった.また,種子の特徴的香気成分は,花様の爽やかな香りを有する linalool や α-pinene, γ-terpinene, D-camphor, geraniol の 5 成分であり,茎葉部にはほとんど含まれていなかった.茎葉部では,成長が進むに従い,heptanal, (E)-2-hexenal や octanal の様な青いフレッシュな香気が減少する傾向があり,生茎葉を香草として使用する場合は,コリアンダー特有の青臭い香りだけでなく,フレッシュな香気を併せ持つ幼苗期の茎葉部が適していると判断された.
著者
小原 香 坂本 由佳里 長谷川 治美 河塚 寛 坂本 宏司 早田 保義
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.267-269, 2006-05-15
被引用文献数
1 18

香草のコリアンダー(Coriandrum sativum L.)の異なる成長期における器官別香気成分の変動を検討した.コリアンダーの幼苗期の葉部と茎部のにおいは極めて類似しており,高いパターン類似率を示した.しかしながら,幼苗期の葉茎部と成熟期の葉茎部のパターン類似率は低下し,さらに,幼苗期から成熟期へと成長が進むに従い,葉と茎部の香気は異なるようになり,そのパターン類似率も著しく低下した.また,果実と他の器官におけるパターン類似率の低下は顕著であった.茎葉部の主要香気成分は,油っぽい,甘い,草様の香りを有するdecanal,(E)-2-decenal,(E)-2-undecenal,2-dodecenal,(E)-2-tetradecenalの5成分であり,種子にはほとんど含まれていなかった.また,種子の特徴的香気成分は,花様の爽やかな香りを有するlinaloolやα-pinene,γ-terpinene,D-camphor,geraniolの5成分であり,茎葉部にはほとんど含まれていなかった.茎葉部では,成長が進むに従い,heptanal,(E)-2-hexenalやoctanalの様な青いフレッシュな香気が減少する傾向があり,生茎葉を香草として使用する場合は,コリアンダー特有の青臭い香りだけでなく,フレッシュな香気を併せ持つ幼苗期の茎葉部が適していると判断された.
著者
早田 保義
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、まずイチゴ23品種の果実の香りの特徴を明らかにするために、パネリストによる直接鼻で嗅いだ時および咀嚼時のイチゴ果実全体の香りの印象とにおい特性の評価を行なった。次に、それら品種の中から特徴的な香気有する品種7品種を用いて、イチゴ品種に共通して存在し、イチゴの香りのベースとなる香気成分(共通香気成分)と、品種の香りを特徴付ける香気成分(特徴香気成分)を決定し、これら香気成分の標準品を用いて各イチゴ品種の香りを再現・検証するため、「PorapakQカラム抽出・濃縮法によるイチゴ果実揮発性成分の分析」、「Aroma Extract Dilution Analysis(AEDA)・Aroma Extract Dilution-Strip Analysis(AED-SA)による香気成分の評価」並びに「標準品を用いたイチゴ香気の再現と検証」を行った。結果は、全7品種から揮発性成分を160成分同定し、香気成分を98成分感知した。98成分中、品種共通香気成分であり、香りのベースとなる香気成分(重要香気成分)は、綿菓子様の甘い香りを有するFraneol、カンキツの香りを有するLinalool、草様やカメムシ様など青臭いにおいを有するcis-2-nonenal、trans,cis-2,6-nonadienal、モモやココナッツミルクなどのラクトン系香気を有するgamma-decalactine、gamma-dodecalactine、汗のにおいを有する2-methyl butanoic acid、金属・ガス臭のにおいを有する香気成分(未同定)、並びに汗のにおいを有する香気成分(未同定)、の9成分を確定した。また、重要な品種特徴香気成分は23成分を確定した。以上の実験結果を基に標準品を用いて香りを再現し、抽出液と比較・検証した結果、とよのか、久留米IH1号及びペチカは香りの印象や類似度が高く、再現が可能であることが判明した。
著者
早田 保義 田部 敏子 近藤 悟 井上 興一
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.759-766, 1998-09-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
19
被引用文献数
7 13

土壌水分の異なる処理区を設け, 土壌水分の違いがミニトマトの生育, 特に果実の糖集積に及ぼす影響と糖集積の要因について調査した.灌水量を強く控えた強乾燥区(pF2.9)では, 葉や果実の水分含量が低下するとともに, 1株当たりの全乾物重が減少した.1株当たりの器官別乾物重の割合は, 強乾燥区で, 葉や根の割合が低下し, 果実の割合が高まる傾向がみられた.果実の糖含量は, 土壌水分を低下させるに従い増加した.組成別では, 全処理区でブドウ糖および果糖の割合が高く, ショ糖の割合が低かった.果実の水分含量は強乾燥区で低下するものの, その割合は小さく, 果実糖度上昇における濃縮効果の影響は, ミニトマトでは少ないと判断された.果実の全窒素および水溶性タンパク態窒素含量は多湿区が高く, 強乾燥区では低い値であり, 糖含量とは逆のパターンとなった.果実のデンプン含量は強乾燥区と多湿区で蓄積量に差はなく, 果実糖度の上昇との関連性が薄いと判断された.果実の食味を示す糖/酸比は, 土壌水分の抑制が強まるに従い, 高くなる傾向を示した.
著者
早田 保義 坂本 隆行 河塚 寛 坂本 宏司 筬島 豊
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.517-525, 2002-07-15
被引用文献数
2 7

メロンの香気成分分析においてPorapak Qカラム濃縮法(PQM)の有効性を明らかにするため, 従来の抽出方法である直接ヘッドスペースガス採取法(DHSM)および減圧連続蒸留抽出法(SDEM)と成分の回収量や回収率および再現性等について比較・検討した.検出された揮発成分数はPQMが103成分で最も多く, 次いでSDEMが66成分, DHSMが8成分であった.同定された揮発性成分は76成分であり, アルコール類では, 2-Methyl-1-propanol, 2-Methyl butanol, 1-Hexanol, 1-Heptanol, 1-Nonanol, (Z)-3-Nonen-1-ol, (Z)-6-Nnen-1-ol, (Z, Z)-3, 6-Nonadien-1-ol, Benzyl alcoholおよび2-Phenethyl alcoholなどがPQMで比較的多量に検出された.アルデヒド類では2-Methyl butanal, 3-Methyl butanal, Nonanal, (E, Z)-2, 6-NonadienalおよびDodecanalが, PQMで多く回収された.エステル類では両抽出法でPropyl acetate, 2-Methylpropyl acetate, Butyl acetateおよびBenzyl acetateが比較的多量に回収されたが, 回収効率はEthyl propionateおよびMethyl butyrateなど低沸点成分の多くがほぼ同程度であり, 中高沸点成分はPQMが良好であった.含硫化合物はEthyl (methylthio) acetateおよび2-(Methylthio) ethyl acetateがPQM, SDEM共に, Ethyl 3-(methylthio) propionate, 3-(Methylthio) propyl acetateがPQMでのみ検出された.成分の抽出変動係数はPQMでは平均11.90%であったが, SDEMでは平均37.13%とPQMの安定的な再現性が得られた.また, PQMで得られた香気濃縮物そのものの香りはメロン特有の自然な香りであったが, SDEでは煮え立ったような重い匂いに変性した.PQMは従来の抽出方法に比べ操作が簡便・迅速に行え, 更に幅広い沸点範囲の香気成分を変性させること無く回収でき, 再現性が高いことからメロンの香気抽出法として優れた方法であると判断された.
著者
坂本 隆行 早田 保義 河塚 寛 坂本 宏司 西村 修 増田 秀樹 筬島 豊
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.388-390, 2002-05-15
被引用文献数
1 6

含硫化合物の検出に適した炎光光度検出器(FPD)装着のSniffing-GCを用いたGC-におい嗅ぎ法により, メロンの香気成分中における含硫化合物並びにその匂い特性を調査した.メロン'ミヤビ'の香気成分中から9個の含硫化合物を検出し, 5個を同定した.3-(methylthio)propyl acetateの相対含量が19.47と最も多く, 次いでethyl (methylthio)acetate, ethyl 3-(methylthio)propionateおよび2-(methylthio)ethyl acetateだった.3-methylthio-1-propanolは同定された化合物の中で0.27と最も低い値であった.その他の未同定の含硫化合物は上記5成分に比べ極めて低い値であった.Sniffing-GCで3-(methylthio)propyl acetateおよびethyl (methylthio)acetateはそれぞれ甘みの入った青臭みおよびキュウリ様の青臭みを有し, その匂いは強かった.2-(methylthio)ethyl acetateは高濃度で検出されたが, GC-におい嗅ぎ法では感知されなかった.ethyl 3-(methylthio)propionateはフルーティーな青臭みを有したが, その匂いは弱かった.3-methylthio-1-propanolおよび他の4成分の匂いは感知されなかった.以上から, ミヤビの香気形成に, 3-(methylthio)propyl acetateおよびethyl(methythio)acetateが青臭みを与える成分として重要であることが明らかとなった.