著者
三浦 敦
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.149-171, 1990

本稿では, 日本の一村落の政治過程とその背景となる社会秩序との分析を通して, そこに働く権力過程やその相互関係を, F.Barthの企業家モデルのアイデアを使って明らかにすることを試みる。こうした日本における政治現象の過程論的視点からの人類学的研究はまだ十分とはいえない。ここで対象とするZ村は主要産業である漁業と林業の不振と過疎化に直面して新たに農業の商品化を試みようとしているのであるが, それを推進する現村長と農協理事長への支持は, その活発な活動にもかかわらず芳しくない。この不支持の理由は交換関係に基く村の社会秩序の考察を通して明らかになる。村には贈与交換と商品交換という二つの交換関係が, それぞれ異なる権力過程によって維持されている。役場と農協の活動はここに新たな交換関係を導入し村社会を変化させるものとして考えられるが, そこでの彼等の権力過程は社会秩序によって制限されるのである。

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