著者
垣花 真一郎
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.241-251, 2005-06-30

清音文字の呼称と濁音文字の呼称の間には, 弁別素性[voice]の価が負から正へ変化するという関係がある。濁音文字習得に際し, 子どもがこの有声化の関係を利用しているかが3つの研究により検証された。研究1では, 4-5歳の濁音文字初学者が, 有声化の基底事例として清音文字-濁音文字の呼称(例か(ka)→が(ga))を提示された場合に, 与えられた清音文字の呼称(例た(ta))から, 対応する未知の濁音文字(だ(da))の呼称を推測できるかが検証された。その結果, 半数近くの者にこれが可能であることが示された。研究2では, 4歳児の濁音文字習得の中後期群に対して, 非文字の清音文字-濁音文字対を目標事例とする類推課題(例X(pa)→X゛(ba))を実施し, 9割程度の者に非文字の濁音文字呼称の推測が可能であることが示された。研究3では4-5歳の濁音習得途上の子どもの読字検査データを分析し, [voice]の関係に違反した"ば行"の習得が他の濁音文字に比べて困難であることが示された。3つの研究から, 子どもは濁音文字の呼称を単純な対連合ではなく, 既習の清音文字-濁音文字の関係を基にした類推によって習得していることが示唆された。

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濁音を有声音ととらえてるのはじゃっかんの問題があるが、「は」と「ば」の関係が取りにくいというのはおもしろいな: 濁音文字習得における類推の役割 http://ci.nii.ac.jp/naid/110001889179

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