著者
中川 恵正
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.114-123, 1980-06-30

本研究は,2個の弁別課題を併行して訓練する併行弁別事態において,後述学習における先行学習の適切次元の有無を変数として,過剰訓練の効果を検討した。 5×2の要因計画が用いられ,第1の要因は移行の型であり,全体逆転移行(W),部分逆転移行(P),半次元外移行-I (HEDS-I), 半次元外移行-II (HEDS-II)か次元外移行(EDS)であった。第2の要因は過剰訓練の有無であり,過剰訓練0試行か過剰訓練24試行かであった。被験者60名(平均年齢4歳1か月; 平均知能115.3)の幼児で,6名ずつ下位群に分けられた。先行学習の規準(5回連続正反応)到達後,あるいは所定の過剰訓練後,ただちに5個の移行条件(W, P, HEDS-I, HEDS-II, EDS)のいずれかを行った。移行学習規準は5回連続正反応であった。正反応に対する強化は"あたり"という言語強化と,ブザー音と黄色ランプの点灯の非言語強化とであった。 主要な結果は次の通りであった。 (1),全体逆転移行群の学習は過剰訓練によって促進される傾向がみられた。また半次元外移行-II群の逆転群の逆転課題の学習は過剰訓練によって促進された。しかし過剰訓練は部分逆転移行群の学習を遅延した。 (2),過剰訓練は半次元外移行-II群の次元外移行課題の学習を促進したが,次元外移行群の学習を促進も遅延もしなかった。 (3),全体逆転移行群と部分逆転移行群の後続学習課程は,標準訓練条件下では異ならないが,過剰訓練条件下では互に異なっていた。 (4),次元外移行課題における学習行程は,半次元外移行-I群,半次元外移行-II群および次元外移行群の3群間に差がみられなかった。 本研究の結果は,後続学習における先行学習の適切次元の有無が過剰訓練の効果を規定する重要な要因であることを示している。さらに先行学習の適切次元が後続学習に存在する場合には,過剰訓練は次元外移行学習をも促進することを明らかにしている。

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concurrent discrimination learning = 併行弁別学習 訳例: http://ci.nii.ac.jp/naid/110001892305 concurrent discrimination task = 併行弁別課題* 使用例: http://nps.sakura.ne.jp/sf/diary/archives/2005/0 … *task を「 ...

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